2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

風邪をこじらせて

あの女は、夫のお得意様であり 夫の不倫相手で、夫に惚れぬいている 私からしたら、全く意味が解らない 夫は立派な人間でも、仕事ができる人間でも なんでもない・・フフフ 私は夫のことを好きでも何でもないが 夫に男としての不思議な色気があり よくモテる…

風邪をこじらせて

長いこと主婦をやっていると 外でカレーは食べない 子供が小さなころから、その年齢に合わせて 色々なカレーを作った 真人が高校生になってからは グリーンカレーも本格的なインドカレーも その辺のレストランに負けないものを作ったつもりだ 真人は今、アメ…

風邪をこじらせて

私は外の雨が愛おしくなった 早くここを出て、傘をさして濡れたアスファルトを 歩きたいと思った そして、ここから坂を下ったところに 小さなカレー屋があって、そこでカレーを食べようと思っている そのために、お昼は抜いてきたのだ 「ねえ、お昼、もう食…

風邪をこじらせて

この女も、まったく同じだ きっと、私と話していても 相手の気分や感情もわからないし 私が何を言っているかもわからないのだろう だから、私がカラスを黄色だと話しても カラスは黒だから黄色と言ったかもわからず 目の前の私の悪口を言いながら 自分は親切…

風邪をこじらせて

目の前の女は、平気で人の目の前で悪口を言う 悪口を言ってはいないと、きっと信じている ああ、頭が悪いんだな~ こんな女をどこかで見たことがある あれは20代の頃、会社勤めをしていて やたら見栄っ張りのスタイルのいい女がいた 学生時代にコンパニオン…

悪魔が来りて・・・

早苗さんは本当に幸せそうに 「あの人は子供と同じ あなたの生まれなんて、あなたのせいじゃないんだから それを本人を嫌がって意地悪言うなんて 小学生と一緒 小学生が昔『お前の母ちゃんでべそ!』って 言う意地悪があったけど 母ちゃんのでべそが、本人に…

悪魔が来りて・・・

孝樹は何も心配していないし 本気で何とも思っていなかった 「でも、あなたのご両親は気にするんじゃない?」 「ハハハ!うちの親なんて大喜びだよ 何と言っても県下では有名な資産家じゃない? 君の財産が相当なものだと知ってるし あ、別にお金目当てとか…

悪魔が来りて・・・

私は大学を出ると、早苗さんのところに帰って 県の図書館に勤め始めた そして、そこで私を目当てに通ってきたのが 孝樹だった 彼は私に恋をして、私も彼を好きになった 何事も無頓着で世間知らずな私だが さすがに祖母の話は心の奥底で気にしてはいた そして…

悪魔が来りて・・・・

「あなた、まさか、ここにいて 普通の結婚ができるなんて思ってないでしょうね」 祖母のその言葉は私にとっては笑うしかない言葉だった そして、その通りに笑った 祖母はそれが気に障ったらしく 「何を笑っているの? 本当の話ですよ あなたの生まれを聞いて…

悪魔が来りて・・・

祖父が生きていた頃には見られなかった 力強さで 「あなた、もう、いい加減、甘やかされる必要はないでしょう 東京で独り立ちしたらどう? 大学までの教育費は早苗さんがもらっているから 卒業するまでは出してもらえばいいけれど 東京で就職して、あなたの…

悪魔が来りて・・・

祖母は、祖父が生きている間ずっと、実家に支援してもらっていた それが、やっと、自分の財産が持て 実家に対して、自分がお金を出せる そうなると、早苗さんへ祖父が遺産を残していたのは仕方がないとしても 私の両親が私にお金を贈与してくれたのが気に入…

悪魔が来りて・・・

祖母は祖父に嫁ぐときに随分躊躇したそうだ 祖父は今では、この村の名士でなくなった今でも 銅像でも作ろうかと、私たち親族に忖度する者がいるほどだが 祖母と結婚した当時は、お金は儲けていたが 博労上がりの成金だった 祖母の家は平安の昔からの名家だそ…

悪魔が来りて・・・

父は私のためなら何でもしようと言ってくれ 母はとても喜んでいた 父がアメリカで仕事が忙しいと帰った後 母は二人きりになった時 「大学、いいところに入っているのね 中学受験、大変だったでしょう うちの下の娘もね、あ、あなたの妹になるんだけど 中学受…

悪魔が来りて・・・

私は、そのことを知ってから それが題材の本をたくさん読んだ まぁ、呆れるほど、どれもこれも私のような生まれの人間を 忌み嫌い、悪いひねくれた奴と決めつけ だいたい、推理小説だと犯人だったりする 失礼な! だいたい、私には何の責任もない 祖母が気に…

悪魔が来りて・・・

村の人たちは それにしては私は性格もいいし、頭もいいし ひねくれてないし、綺麗な子だと言ってくれる 早苗さんや祖父は、世界で一番大事にしなければならない子だと 思ってくれて、父と母は 私にどうやって接していいかわかってはいないが お金で済むのな…

悪魔が来りて・・・

私は早苗さんのおかげで 常識にとらわれることなく 自分は幸せだと感じていた それは、早苗さん独特の水商売の女のような あっけらかんとした、愛とお金だけを信じてる そんな生き方を基軸に育ったからかもしれない 葬式が終わった後に 父と母が私の前に座っ…

悪魔が来りて・・・

「でも、今じゃ、アメリカの偉いお医者様で 向こうに奥さんも子供もいるんでしょう 武美さんが早苗さんにグダグダ言っていたけれど まあ、あの武美さんにしては良いこと言ったわよね だって、妹のあかねさんだっていいとこの奥様なんだから 少しはね~母親と…

悪魔が来りて・・・

あ、そうだったのか 私はそれ以外,何も思わなかった そして、これまでのこと、すべてに合点がいった そういうことか 村でいつも特別扱い でも祖父のおかげで、その特別扱いは 私にとって嫌なものではなかった 早苗さんは本当にかわいがってくれた それは、…

悪魔が来りて・・・

早苗さんは目を吊り上げて 「何言ってんだい、能無しのくせに うちのパパが何度、あんたに金を出したかは聞いてるよ そのうえ、まだ、むしり取ろうってこと? 静ちゃんはパパに私が任された大事な娘だよ 大学を出てからが一番重要なのさ いい人と結婚しても…

悪魔が来りて・・・

私に親がいたのか! いや、理屈ではわかっている それはいるだろうが、こうして目の前で見ると 不思議としか言いようがない それに、二人とも私たちのように祖父が死んだのを 心から悲しんだりしていないし 私の親ならば、もう少し、私を気にかけてもいいだ…

悪魔が来りて・・・

この、寮に入ってからは 誰もが早苗さんを母親だと思っていたし 父親は来なくても珍しいことではなく 医者や弁護士、社長などの父親が多く みな忙しいのだ 私の父もそんなことで来ないのだろうと思われていた 私が初めて、自分の父と母について知ったのは 大…

悪魔が来りて・・・

授業参観の時の早苗さんは どこのお母さんより美しかったし 村にはうらやましがるほどの父親を持った者はいなかった どの父親も子供の目から見れば しょぼい、おっさんにしか見えなかった 私が、両親がいたらな~と思ったのは T女子学院の寮に入ってからだ …

悪魔が来りて・・・

小学校の時に大人の話から すべての事情を理解していただなんて やはりただものではなかったのだ 今は国費でアメリカに留学している 一度、ゆっくり話してみたいものだが 私とは頭の出来が違うから、話しは合わないかもしれない その子以外、私を傷つけよう…

悪魔が来りて・・・

よく話したと言っても、学校が終わってから遊ぶとか 学校以外で会うことはなかったし 中学からは私は遠い私立の寮に入ったから しれているのだけど 彼女が大学に合格した時 公民館でお祝いが、うちの祖父主催で行われた 祖父は勉強が大事で、こんな田舎でも …

悪魔が来りて・・・

ただ、そう言って近寄ってきたとき 私は素直に喜んで、たびたび話すようになったのだが その子の目的は違っていたのだ 頭のいい子だから、大人の話によく耳を傾けていた 一つは父親が、酒を飲んだり、何かの拍子に 暴力に走るし、兄妹は多いしで いつも緊張…

悪魔が来りて・・・

休み時間にたまに話したりした 小学校では私の次くらいによくできたのだが 私は早苗さんに色々問題集を集めてやらされたり 夏休みや冬休みには 親戚の中で一番勉強ができると言う高校生のお兄さんが 祖父にお金をもらって家庭教師のようなことをしてくれてい…

悪魔が来りて・・・・

そんな家が多い中 私は幼稚園は一時間かけて、早苗さんがぴったりついてくれて 通わせてもらった 私が幼稚園にいる間、早苗さんは町の喫茶店でコーヒーを飲んだり 買い物をしたり、パチンコをしたりしていたようだ 村の誰よりもお嬢様扱いされていたから 誰…

悪魔が来りて・・・

私は村の子とは少し違っていた まず両親がいない 実際に入るのだが、今は父はアメリカで医者をしているし 母は東京ので別の家庭を持っている 私はそう、早苗さんから話に聞いているだけで 会ったことは一度もない 物心ついたころには、早苗さんと住んでいて …

悪魔が来りて・・・

祖母は穏やかな優しい人だった 小さな私は、大人たちの間で いったいどんなことが起こっていたのかちっともわからなかったが 早苗さんは面白いほど負けず嫌いで 祖母に負けたくないと言う気持ちだけで生きているようだった 今なら、私にもその気持ちはよくわ…

悪魔が来りて・・・

うちの小学校は田舎過ぎて給食がなく お弁当だったのだが 早苗さんの作るお弁当は凄すぎて 誰もがうらやましがっていた 同じ学年に鶏舎をやっている家の子がいた その子は卵焼きがいつもたくさん入っていて 皆がうらやましがっていたが 私はそれさえも、何も…