2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ただ、毎日を

家に泊めてくれと言われるか 少し怖かったが そういうわけではなさそうだと安心したが 夫はいつものように コーヒーを飲みに行ってる 「へぇ、やっぱすごいもんだね」 散々、家の中を見て回った後で お茶を飲みながら 昔の話が始まった 真澄はこの人は一体何…

おばさんであること

人を見た目で判断してはいけない美也が何度も言い聞かせて教えて来たことだ今までは人を見た目で判断しない大輔が自慢だったそれが、今、何と悔やまれることか金髪でなんちゃって制服を着てメイクが濃い、ミニスカートの女の子誰が見たってアバズレに決まっ…

ただ、毎日を

真澄は何かしたくてたまらないのに 同い年くらいのおばあちゃん まだ、60になるかならないかくらいの 人たちの集まりで お稽古とか、ボランティアとか どうも乗り気にならなかった 夫と一緒なのも もっと、嫌だった そんな時に もう、忘れていた実家から 従…

おばさんであること

大輔の付き合っている女の子どうみてもロクでもない子だ大輔は有名私立の男子校だから6年間、そういう問題は全く関係ないと思っていた特に大輔は、女子にやたら興味があるとは思えない子だったそれが、わけのわからないなんちゃって女子高生のスミカに見事に…

ただ、毎日を

真澄は少し泣きそうになる 夫とは結婚して、子供を作って、 家庭を築いてきたと思うのに 一度も心が重なった記憶はなかった 夫は子供に興味なんか持たなかった 勉強だって出来ようが出来なかろうがかまわない 大学に行こうが、最悪、高校に行かなくても 別に…

おばさんであること

美也は帰りながら 明美が言っていたことを考えていた 『Hなことはしても、子供を作る勇気なんかないみたい』 明美が徹のことを話すたびに なんて、困った子供なんでしょう うちの大輔には全く、関係ない悩みだわ そんな風に思っていた でも、今初めて、うち…

ただ、毎日を

夫は薄ら笑いをして 真澄を見ると 「だからどうだって言うんだ そんな部署ではないからと言って あいつが仕事ができているわけではないからな 速水さんの夫ということで 社長であるみぃさんが格別に 仕事を回してくれているのは確かなんだからな」 真澄はち…

おばさんであること

「それで、徹君はどうなったの?」 明美は初めて徹のことを思い出したかのように 「ああ、忘れてたわ 徹は女の子とHなことはしても 子供を作ることになるほどの度胸はなかったみたい ま、私と夫の子供だから バカだけ、あんまり道を外したことはできないの…

ただ、毎日を

「まぁ、あなた、そんなこと知ってるの?」 真澄は真面目な主婦で、道徳はしっかり持っていて 男のそういう世界を知ることは 女として恥ずかしいことだと思っていた 「ああ、まだ、現役のころ 若いやつらが仕事中によく騒いでいたからね 実際に触れもしない…

おばさんであること

明美の恋はもう、終わっていた 「夫が許してくれるのならば 私が補填のお金をすべて出して これまで通り一緒に暮らしたいの 坂の上とは連絡があっても、もう、会わないし 会いたくない」 満里奈は大声で笑いだした 「よかったじゃない! お金があるっていい…

ただ、毎日を

真澄は朝の散歩をしながら考えた ゲームのソフトなんかを作って 莫大に設ける人たちがいることは よく知っている それなのだろうか? 散歩から帰ると 夫がテーブルに座って新聞を読んでいる 真澄は慌ててコーヒーを淹れた そして、さっきからずっと 考えてい…

おばさんであること

「この調査は、あ、」満里奈はすぐに気がついた「彼の調査を依頼したのは旦那さんだったの?」明美は頷いた「旦那さん、明美のこと気にしてたんじゃない!どんなに苦しんだことでしょう」美也は優しく言った「ええ、私結婚して初めて彼と面と向かったわ!そ…

ただ、毎日を

真澄はタケオの兄のことだけ考えて 数年暮らしていた そして、突然帰ってきたタケオが 有名私大に合格していて どんなに嬉しかっただろう あの日はまるで夢みたいな気分だった それまで、どこでどうしていたかなんて 本当にどうでもよかった でも、今、考え…

おばさんであること

2人とも驚いた今までの明美の話からはそんな感じの旦那さんには全く思えなかったからだ「でも、その愛人って、本当にいたんでしょう?ほら、香水の匂いとか言ってたじゃない」「それが、その香水夫のカバンから出てきたの」「え?自作自演ってこと?」「そう…

ただ、毎日を

真澄はそこで、東京の私立の大学を目指した そして、見事合格したのだ 何も知らなかった真澄は東京に来て その大学のランクを知った マーチよりもかなり下だった 大学生活を送るうちに、何とはなしに格差を感じた 東京にははっきりとした住みわけがあり 田舎…

おばさんであること

美也は首を振った 満里奈もその調査書を返しながら 「でも、どうして、調べてみようなんて思ったの?」 「夫がね、お金を貸してくれって言うのよ」 「え?どういうこと?」 「今まで会社のお金に手を付けていたらしいの 今までばれないようにやって来たけれ…

ただ、毎日を

タケオが家を出ても誰も探さなかった 知り合いには自分の実家の近くの有名校に行きたがっていたから そこに行かせていることにしていた タケオがいない間、兄のほうが真澄を十分満足させてくれた 就職試験で頑張って一流企業に入ってくれた これでこそ、私の…

おばさんであること

そこには坂の上のことがこと細かく書かれていました まず、長いこと女の紐として生きてきたこと そして、今は30も下の風俗嬢と暮らしていること 今まではほとんど女に生活費を出してもらっていたのに この風俗嬢には惚れぬいていると見えて 彼女が逃げ出すと…

ただ毎日を

タケオは不合格のその夜 母が心底嫌いになった 母はめそめそ泣いて 「いったいこれからどうすればいいの」 それしか言っていなかった タケオにしたら合格した第二志望の高校に行くだけだ そこだって、簡単なとこじゃないのだ その高校からは東大が多く輩出さ…

おばさんであること

明美は調査書を二人の前に置くと アイスコーヒーをストローも使わずに 一気に飲んだ そして、今までの坂の上との いや、自分が坂の上に溺れて行ったことを さらさらと話 もちろん、お金もどんどん持ち出したことも 二人は感想すら出てこないほど驚いた 最後…

ただ毎日を

期待して期待して、落ちた高校受験 真澄にタケオを気遣う気持ちは全く沸いてこなかった 自分自身が立ち上がれないほど落ち込んだ 同じ中学でママたちの間で鼻を高くして この三年間やってきたのだ いつだって一番のタケオ それでも担任は都立ならば余裕なの…

おばさんであること

少し息を切らしながらやって来た明美の顔は ほんのり上気していて、今までに二人に見せたこともない 女の顔をしていた 服が違う 今までは奥様に人気のブランドを着こなし 今の時期ならワンピースにカーディガン 靴はフェラガモ、バッグはエルメス何処から見…

ただ毎日を

その時に真面目な他にとりえのない夫を 好きではなくなった 二人のかけがえのない子供たちの教育費も 何とかできない夫なんかうんざりだ もちろん口に出しはしなかった 真澄は夫には尽くすよう育てられていた世代だ 小学校受験も中学校受験もあきらめた 公立…

おばさんであること

明美は満里奈には言わなかったが 徹が明美の思うように育たなかったのはわかる気がした あんな母親ならば美也だって反抗するだろう まるでしゃくし定規に育てていて、そこに徹に対する 本物の愛情は感じられない 「ちょっと、面白いか連絡してみようか? 彼…

ただ毎日を

真澄は起きた時から元気だ 寝室を出ると、顔を洗う 若い時からずっと『ちふれ』 化粧品だけじゃない、結婚してからずっと 自分の身の回りのものは 安いものにしている まずは夫と子供たちのためにお金は使う そう言えば速水の化粧品は高い外国ブランドの物だ…

おばさんであること

美也は満里奈と顔を合わせて それから 「明美、何があったのかしら?」 「いよいよ、旦那が別れたいって 愛人のもとに走ったとか 徹君が何か悪さして停学になったとかじゃないの」 満里奈は少し面白そうに言った 「まあ!かわいそうじゃない!」 「だって明…

ただ毎日を

最近は朝は4時には目が覚める さて、横に寝ている夫を見る 定年退職してから、楽しみはコーヒーを飲むこと 毎日、ネットで調べては 美味しいと言われるコーヒーの店に行くのが楽しみなようだ 真澄にはちっともわからない 結婚して数十年、夫が好きだから 朝…

おばさんであること

10万が、知らないうちに100万になり 出来たらもう少し用意してくれないか? そんなことを言うようになった 恋に落ちて目が見えなくなっていた明美は 自分の財産を切り崩して持ち出した かなりの額になるのだが、夫は気づきもしない もちろん、妻が相当な財産…

速水の子育て

それからは、星人はすっかり落ち着いた 義母に似たところはたくさんあるけれど 心の奥底は、速水の父親にそっくりだった ふわ~っとしていて、つかみどころがない しかししっかり毎日を丁寧に過ごすようになった 相変わらず、自慢はしているが 今はそれも少…

おばさんであること

しばらく甘い蜜のような日々が続いた 明美は三人で会う日も断って 坂の上にのめりこんでいった 夫も息子も気が付かないと言うよりも 明美に全く興味がないのだ 坂の上の甘い言葉、そして、初めての恋 もう、離れたくない、主人とは離婚する そう言う明美に坂…