2018-01-01から1年間の記事一覧

暇な奴ら

新開は水を得た魚のように生き生きと仕事をこなし 昔のファンが戻って来て 有料サイトは飛ぶようにお金になった しかし、速水には心配なことがあった 「ねぇ、息子さんはどうしてるの?」 塾の勉強はおろか学校の勉強についていけない いや、小学校にもまと…

逃走

智恵理・・・チェリーだそうで、バカバカしい名前だ 上の男の子は息子そっくりで、息子と同じ大学に通っている 息子は無口で大人しいところが取り柄だったが そこはそっくりだ 生まれてから、一度もまともに会話したことはない 息子と同じようにまじめに勉強…

暇な奴ら

みぃが笑う 「うちの取引先だよ 旦那の会社から企画とか頼まれたり うちからも、エロゲーの作成とか頼んでいるけど それも、あなた、スミカを奥さんにした 見込みのある社長だったからよ」 新開は驚いて速水を見る 「世の中、常識ってものが人をだめにするっ…

逃走

「おばあちゃん、ホテルに泊まろうよ! うち、ホテルに泊まりたい! ママがね、うちらが小さいころ よく、パパと喧嘩した時に帝国ホテルに 連れって行ってくれたんだよ」 この馬鹿な孫はペラペラと良くしゃべる 祖母の安江は孫の智恵理を呆れながら見る 長い…

暇な奴ら

あのグループの中では苦笑されるしかない 新開だが、ここではスタッフに尊敬のまなざしで見られる そのくらいは売れたのだ 自分でもうれしくなる 部屋に入ると、どんな男の企画部長が待っているかと 勝手に思っていたら その部屋で待っていたのは速水とみぃ…

魔女

八王子の小さなアパート ピンクいっぱいの部屋 「え~、そんなこと、あったっけ? あ、小さいころ、一緒に住んだお姉さんだね~ ほんのちょっとだったけど、 美味しい白いご飯たべたことと、 いつも、同じ服の女の子!」 くうちゃんも何とか覚えてくれた こ…

暇な奴ら

いったい、どうすればいいのだろう 夫は仕事で泊まり込み 子供は部屋でゲーム三昧 夫が渡してくれているカードは使い放題なのに いったい自分がどうしたらいいかわからない AVで働いていたころ 生まれるところまで、映像にしてお金にした 今の夫と知り合って…

魔女

「あ、でも、今の居場所はわかっているんですよ 八王子の老人ホームでヘルパーをやってるんです」 今までのくうちゃんの話の中で 私と瑞樹ちゃんは一番驚いた その反応に、娘である若女将も笑いながら 「意外でしょう!今の義父・・・というか彼氏は 15も…

暇な奴ら

新開は前々から気がついてはいたが 自分の教養のなさ、この人たちが住んでいる世界の常識 そんな中で場違いなのが 今は苦しくなってしまった ここではどんなにお金を使おうが、それでは手に入らないものが あまりにも多くて そして、その代償は彼女たちの失…

魔女

その旅館は今でもあった くうちゃんのことを聞くと すぐにそこの若女将が出てきた 「母が何かやったんでしょうか?」 美しく、落ち着いたたたずまい 20代前半であろうと思うが、今まで聞いてきた くうちゃんのイメージからほとんど想像できないほど 真面目そ…

暇な奴ら

新開は皆でお茶を飲んでいる時に 誰もから、どうして速水に近づいたのかを聞かれ 得意になって話した そして、これは秘密なんだけど・・・ そう言いながら、速水が中卒だと話した 誰もが驚いた中、享美が鼻で笑いながら 「それは恥ずかしいことでも何でもな…

魔女

一度、結婚したが子供が産めない体であることを その時の検査で知った そして、その理由が幼い時の性的虐待であること それがわかると、夫に離婚を切り出された 普通の、ごく普通の人でそのことでショックを受けたようだった すべて自分の過去を話す必要があ…

暇な奴ら

新開にもそんなことはわかっている わかっていても、今の知り合いは 誰もがそこに価値を置いているのだ 速水とは一緒に車に乗せてもらい、写真も撮ったし 行きつけのお店まで連れて来てもらった もう、用事はない 「あ、あの、、私用事を思い出して・・・」 …

魔女

「たしか、あの時、別の叔母が それじゃ、困るだろうって 茨木の伯母の知り合いの旅館を紹介したんですよ 泊まり込みの中居を募集していて 子供がいてもかまわないってことだったと思うんです その旅館の住所と名前を言いますからメモしてください」 そう言…

暇な奴ら

話を聞いていると、自分で自分の首を絞めている そんな狭い範囲の自慢話 ハーバード出身の夫婦が来たら すぐに順番は変わるじゃない 「私は中卒よ! それでもいいじゃない! そこが自慢になるのはわかるけれど 新開さん、その、誰それさんの夫の学歴とか 私…

魔女

それか数日、瑞樹ちゃんから連絡はなかった 専業主婦の私と違い、店を開けなければいけないのだから 大変だ。 それをこれまで、くうちゃんに会いたいという希望だけで 頑張って来たのだ 少し、探す時間をゆっくりにしよう 私はそう思って連絡はしなかった そ…

暇な奴ら

もちろん、新開の過去をどうのなんて思ってもいない こんな風に新しい人生を歩んでいて それはうれしく思う だからこそ、上っ面の幸せに惑わされてほしくないのだ こんなふうに、なんだか見栄の張り合いのようなことに 一生懸命になってほしくない だからこ…

魔女

子供!!!!! 今までの流れで、くうちゃんに子供っていうのは まったく予想していなかった それにしても、どこに行っても 一緒に暮らした男たちのくうちゃんに甘いこと! そうだ、いま、私たち二人だって こうしてくうちゃんを探している 彼女にはなにかそ…

暇な奴ら

「素敵~! やっぱり行きつけのお店のも素敵ですね」 「そんなことないよ 新開さんはどこに住んでるの?」 「えっ?ああ、私は、あの~」 速水は笑い出した 「駄目じゃない! すぐに、しれっと恵比寿とか六本木って言えなくっちゃ」 新開は居心地悪そうに 「…

魔女

「瑞樹ちゃん、よく気が付いたね~ でも、想像してたのと随分違ってたわ これまで聞いた話では、絶世の美女になったかと 思っていたんだけど」 運転手だったおじさんの住所に向かいながら そんな風に話すと 「私の知ってる限り、美しい女の人って そんなに男…

暇な奴ら

速水は断る術もしらなかったから もたもたしているうちに 彼女は車の助手席に乗り込んできた 仕方がない 車を発進させると 「どこまで?送るわ!」 「あの、一緒に写真を撮ってほしいんです」 ああ、そういうことか 速水は納得した 自分と一緒に、この車の前…

魔女

すると、瑞樹ちゃんが 「良かったら、一緒に写っている写真とかありませんか」 と聞いているのを、よく気が付く、瑞樹ちゃんには感心する 私たちが知っているのは小学校に上がる前のくうちゃん 今までの経緯を聞いていると どんな絶世の美女になったのだろう…

暇な奴ら

「この車は夫の物 私は車には興味ないから、わざわざ、買うのももったいないから 夫のを運転してるだけだよ じゃ!」 はっきり、さよならと言ったつもりだ これ以上は喋りたくないオーラも出したと思う それなのに、彼女は 「あ、あの、私、新海と言います。…

魔女

私にはわからない、くうちゃんの良さが 瑞樹ちゃんにはわかっていたのだろう 社長は笑いながら 「実は違うんだ! 僕のほうが『つまんないからっ!!!』って フラれたんだよ 出ていかれたんだ」 私はものすごく驚いたのだが 瑞樹ちゃんは、そうだろうと言う…

暇な奴ら

夫の職業を聞かれれば イタリアを拠点に海外を飛び回っている そう言うしかないのだが それがまた、彼女たちをうらやましがらせ 私立のお受験に奔走している彼女たちに 星人はまだ、中学だがニューオーリンズにジャズ留学 親が止めても自由な子だから、自分…

魔女

社長はすぐに自分の部屋に招いてくれた 「くうちゃん?くうちゃんのことなんでしょう? 僕も彼女にはやられっぱなしだったけど 今、思い出せば、あの頃は楽しかったよ 僕が一番、お金を持っている時でもあったけどね イタリアから電話してきて 『どうしてい…

暇な奴ら

速水はそんな若いママたちには、随分前から気が付いていた うっとおしそうだったから、そろそろ、ジムを変わろうかと 思っていた矢先だったのだ 彼女たちの大事なこと 住んでいるのはどこか 夫の職業 どこの大学出身か 子供の学校はどこなのか どんなブラン…

魔女

瑞樹ちゃんは知り合いに電話すると その会社の社長に電話を繋げた くうちゃんの名前を出すと、会ってくれると言った タクシーに乗ってその会社に行きながら 「いったいどうしたの?」 私は不思議に思って聞いてみた 「私、銀座のクラブやあの手の社長が行く…

暇な奴ら

若いセレブママたちの間で 速水はあこがれの存在だった そのタオル一つだってどこのか真似したがったし その美しい透明感に誰もが、ほ~っとため息をついた 速水にはもともとの容姿よりも、誰もが目を止める 透明な妖精のような美しさがった そして、16のこ…

魔女

その、IT企業の社長はすぐわかった 今でも、それなりの会社で彼の名前は ウキペディアで検索出来た 瑞樹ちゃんが「あっ」っ思い出したように 「この人、去年、ほら、モデルの陽菜と結婚した人! 当時、略奪婚とか騒がれたでしょう?」 私もワイドショーが…