暇な奴ら
もちろん、新開の過去をどうのなんて思ってもいない
こんな風に新しい人生を歩んでいて
それはうれしく思う
だからこそ、上っ面の幸せに惑わされてほしくないのだ
こんなふうに、なんだか見栄の張り合いのようなことに
一生懸命になってほしくない
だからこそ、少し、おせっかいをしたくなった
さっきの写真をもう、インスタに挙げたらしくて
「速水さん、みんなびっくりしてますよ
ふふ、享美さんも、さぞ、驚いているんだろうな~
享美さんが一番、速水さんと仲良しになりたいって思っていたんですもの」
そのあとに『いい気味だわ!私が出し抜いてやった!』
そんな声が聞こえてきそうな言い方だった
「享美さんってどんな方なの?」
新開の今の気持ちをもっと知りたくて聞いてみる
「旦那さんは国際弁護士で世界を飛び回っているんですって
あ、速水さんところもそうですよね」
「うちは、おばの会社を手伝っているだけだから」
「享美さんの旦那さんは、Y大出身なんですよ
速水さんところも、さぞ、すごいんでしょうね~」
「うちはK大だけど」
「え~もしかして、小学校からですか?
すごいな~」
さっきから自分の夫の話は出てこない
「ううん!うちの夫は高校受験に失敗して
家でして、それから、紆余曲折あって大学を受験したのよ」
新開はすこし、え?という顔をしたが
「それはそれですごいですよね
享美さんは、あの、お嬢様大学で有名なFなんですよ~」