2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

その先

花は何も言えなかったその男の人も全く知らない何も言わないでいると「風香は照れ屋だったからそう言うこと言えなかった自分が嫌いだったって言ってた花さんにはいろいろ教えてもらって今の専門学校に入れたのも花さんのおかげだと言っていました」「えっと…

その先

私は何も聞くことも何も言うこともできなかったただ、そこから、少し離れた場所に田舎では滅多に見ないような綺麗な顔の男の人が立っていた私が帰り道、友人達と別れるとすぐに、後ろから声をかけられたその綺麗な顔の男の人だった「もしかして、花さんです…

その先

田舎の同級生たちはほとんどが葬儀に参列していたそれでも、都会に出て行った子たちが帰ってこれなかったから人数は少なく、あの派手な風香にしては地味な寂しいお葬式だったほとんどが父親のガソリンスタンドの関係のようだった田舎に残っている友人では私…

その先

そんな仲だったし彼女は東京のデザイン専門学校に進み私は地元の農協に進んだ華やかな世界に飛んでいった彼女そして、地味な人生の始まりだった私の就職お互い接点も何もなくなっていた夏休みに帰った時も彼女からはなんの連絡もなく風の噂で、ものすごくか…

その先

彼女は美に関しての追求心がすごく私は高校まで容姿で褒められたことはなかったが「花はスタイルがいいし、顔が小さい絶対にジーパンが似合う」そう教えてくれたりしたものだ私は彼女が普通の点が取れるくらい勉強を教えていた風香が学年1垢抜けているお洒落…

その先

そんな大人しい、地味な高校生活をしていた私だけど一人、背が高くて、綺麗な風香という友人がいたいや、友人と言っては、相手はそうじゃなかったと言うかもしれない。ただ、3年間同じクラスで中学は違ったが、なんとなく近くにいることが多かった彼女は美人…

その先

「小学校の頃は神童と呼ばれていて高校は実は僕が行く予定だった県内のトップ校にも行けたのに女の子だからって親に止められたとかすごい噂を聞きましたからね」「ああ、そんなこともありましたでも、なんの野望も向上心も持っていなかったわたしはただの田…

その先

それからは必死で働きましたおかげで、人にも恵まれて牛の病気を調べたりしているうちに薬の関係者に深く関わることになって結局、今はこうしてやってるってわけです」私は真っ赤になった「素晴らしいですね同じあそこからが出発点だったのならば私の本好き…

その先

「父が働いていた職場の友人が北海道に行くことを勧めてくれてましてね私は牛の世話なんか勘弁してほしいって思って、親戚の工場に通っていたんですけどあなたと、あの話をしたでしょう?周りは向上心のない、ばかばかりだと思ってたけど、向上心のないのは…

その先

私は驚きで声も出なかった私には彼に何か悪いことをしたんじゃないだろうか?そんなことで、ずっと、心が痛んでいたのだ「あの頃は突っ張って、周りの高校生達をチャラチャラして!何が恋だ!なんて思っていたけど実は私は毎日、あなたに会うのが楽しかった…

その先

「当時は父を恨み、母を恨みもう、どうしていいかわからなかったよ高校に上がることも、どうやっていいかわからないし親戚の工場があなたが通っていた高校のある町にあったから毎日、あの電車で通っていたんだ不良になるほどのエネルギーもなく大人に言われ…

その先

「僕はあの頃、荒れていましてね」「え?全然、そんなふうには見えませんでしたよ高校に家庭の事情で行けない優等生って匂いをぷんぷんさせていて私はあの、電車の中の恋だの愛だのでチャラチャラした空気に辟易してましたから新鮮でしたよ」「ああ、やはり…

その先

「ああ、そうでしたかあの頃、お世話になっていた役場の人が北海道まで来てくれましてね広報誌にぜひ載せたいとああ、あの時のものを見てくれたんですか私は、あの頃、あれをあなたが見てくれればそう願っていましたよ願いは叶っていたんですね」「そう、心…

その先

あの頃のままのように彼は若々しかったそして、彼は笑顔で手をだした「手紙、ありがとうございます私も懐かしく思い出しましたでも、私は結構、あのときのことを思い出していたんですよ」「私もよく思い出しましたよあれから、北海道に行ってたんですね私は…

その先

会社の応接室に通された10階建てのビル大したものだと、上がってきた秘書の女性は美しい通されると「社長は、すぐに参りますから紅茶とコーヒーとどちらのしましょうか?」私が遠慮して、もじもじしていると「社長に手厚くもてなすように言われていますから…

その先

その馬主は製薬会社の社長だったでも、名前はあの彼と同じだった写真を検索すると歳は取っているが、彼だろうと思う東京の大手の製薬会社の社長だ今、会ってくれるかどうかわからないがあの時の彼にあって見たいと思う一体、どんな人生を歩いたのか向上心の…

その先

彼とはそれっきりだった二〇歳くらいの頃、農協の事務をしていた私が何かのついでに、彼の住んでいた地域の農協に行った時に彼の写真が飾られていてなんでも、北海道で頑張っているこの地区出身の若者!そんなキャッチフレーズで彼の笑い顔を見たああ、あの…

その先

その主人公は泥沼のような貧乏な境遇からのし上がっていく話だったきっと、そうなんだろう犯罪者の子供が夏目漱石は読まないだろう高校生のわたしはそう考えたかなり、わたしは馬鹿だったと思うがつい、言ってしまった「何か、冤罪?そう言うことかもしれな…

その先

その頃の私は、たくさん本を読んでいた影響で想像力たくましく毎朝、恋愛やらなんやらにうつつを抜かしている周りの高校生よりも私の好きな小説と同じものを読んでいる彼の方に勝手に味方したきっと、冤罪!それとも、何か深いわけがあるのよそう思うと5時45…

その先

でも、私はなぜなのか聞いてみたかった私とは全く反対!「これから仕事なの?」「ああ、まあね」それ以上聞くなって感じだった「何時に終わるの?」「普通、五時だろ!」「じゃ、帰りの電車、5時45分だね私もそれに乗るから」そう言って、私たちは別れた仲の…

その先

ある日、彼が何かの拍子に本を落とした気がついた私が先に拾おうとすると夏目漱石の本だった本を拾ってあげながら「あ、コレ、私前に読んだなんか、考えちゃった」そういうと「『向上心のない奴は馬鹿だ!』ってとこが俺は…」彼がそう言った途端私も「あ、私…

その先

イケメンでもあれば女子高生満載の電車の中だすぐに噂になっただろうし少し生意気なら、元気な男子高校生から難癖をつけられたのかもしれないでも、彼はいかにも中卒でいかにも田舎出でここは田舎だったが、その中でも山奥から出てきている感じ私たちの高校…

その先

そんな電車の中だから誰それの鞄の中には、ラブレターが入っていたとか男子の噂に誰それちゃんが一番だと言われているとか毎日、恋の話で満開だったでも、私には関係ないこと毎日、電車に乗ったら英単語の暗記か夏目漱石や森鴎外の小説を読んでいたそんな学…

その先

高校時代の思い出は何もなかったただ、電車通学で父が最寄りの駅まで軽トラックで送ってくれる電車に乗ると、もう、満席になる程電車は混んでいるこの電車には県立の2校、私立の女子校の3校の学生が乗っている私が通っていた県立高校はもともと女子校で偏差…

その先

「うちは私に対して無茶言わなかったし私も親の言うことを聞いていれば平和で幸せだったかな澄子ちゃんは大変だったけど立派な息子さんもいてよかったじゃない」「良かったのかな?」「そう、こう言っていいものかどうかわからないけれど、お母様は亡くなら…

その先

私は他の頭のいい子達のような野望は全くなかった大学に行ったり、田舎の村を出たりそんなことはしたいと考えたこともなかった田舎にいて、毎日本が読んで暮らせれば何よりの幸せだった親もそんな私に満足していたし結婚だって、親が探してくれた人で十分だ…

その先

澄子ちゃんはひどく落ち込んでいた「私、どうして母の言うことを聞いて生きていたのかし?」「それは、ほら、信之君が学生の頃調べたっていう、あれでしょう仕方ないわよみんな、親を選んで生まれてくることはできないからね」「それはそうだけど花ちゃんち…

 その先

あの、訳のわからないお婆ちゃんと関わって生きるより、よほど幸せでしたこうして、好きな仕事にもつけたしあ、もう直ぐ、結婚するんです結婚式にはぜひ、来てくださいね」全てが思ってもいなかった展開で澄子ちゃんにとっては幸せな話のはずだ生き別れた息…

その先

その人は病気で亡くなったそうだ横で聞いていて、なんと切ない話だろう澄子ちゃんは何も知らないまま全てが過ぎ去っていった唯一愛した人だったろうにあの母親の罪もちろん、そうならないようにあの人から離れる勇気は必要だっただろういくら、絶対君主だっ…

その先

「会ってみたら、物のわかる人で自分が悪かった反省している、子供は自分が育てようそう言ってくれたんだでも、私たちも育てたかったから父親として、何か必要なときには手伝ってもらうことで、話は決まったんだもともと、奥さんとはうまくいってなかったん…