2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

秋風

大木の採用には幹部たちは反対だった この会社は学歴では採用しない 幹部の中には中卒すらいる いや、みぃの出が出なので 学校を重きとはしていない そのかわり、中卒であっても 早くから、それは小学校高学年くらいから いや、正二のように生まれて時から仕…

おばさんであること

人の悪口を言ってはいけない! そう教えたのは美也だった しかし、美也は自分の友人関係を考えるに 人の悪口を言わない人は 信用できないし、頭が悪いような気がして あまり付き合わないようにしている 人の悪口というよりは、真実だ 人は小学校時代くらいに…

秋風

人生はミキが正二に自分を預けてくれてから 全く変わった 正二は勉強ってものを全くしたことがなかったみぃに 一から経営のすべてを教えてくれた 正二こそ、生まれた時から風俗小屋で育ったらしい 学校なんか行ったこともなかった しかし、正二は頭を使わせ…

おばさんであること

「あ、でも、ほら、B組の何人か この前のPTAの役員会でも問題になってた子たち あの子たちは?」 美也はスミカの話を聞いたとき すぐに思い浮かんだ子たちがいた 一人、金髪で渋谷あたりで遊んでいる子がいる 子分みたいな子が二人いたはずだ 役員会が終…

秋風

姉は綺麗で優しくて、かわいい服を買ってくれて 美味しいご飯を作ってくれた まだ、五、六歳だったみぃにとって 家族は暖かい素敵なもので 姉や兄のような不満はなかった みぃには、世間の常識が一つもわからなかったから いつだって幸せだった 母に連れられ…

秋風

みぃは執務の手を止めて窓を見た 少し寒くなってきて ああ、今季の服を買いに行かなきゃな みぃはこの間から、好きなセレクトショップのカタログを見て 買うのを楽しみにしていた でも、今年はいつもの年ほど楽しみではない 姉がいないから 夫の後を追うよう…

おばさんであること

二人で夕飯が済むと 美也はデザートに柿を向いた 大輔は親と喋らないなんてことはまずない 夕飯が終わった後、さっさと部屋に入ってしまう妹とは 全く違う テスト期間の最中で早く部屋に戻らなければ そう言う時ですら、親に気を使ってちょっと、喋ってから …

最近の星人

星人は家に帰ると速水にその話をした 「なんか、おかしくない? 離婚も再婚も母親のせいなのに チェリーは母親のために一生懸命なんだ」 速水は自分の小学校六年くらいを思い出した 母ならこんなときにどう言っただろう 速水はあまり深い人間関係には興味が…

おばさんであること

受験をしないことにした妹のほうは 学校の勉強を言われなくてもちゃんとやっていた 中学受験の勉強の内容を考えたら 最低でも学校の勉強くらいは真面目にやっておかないと 世の中的にバカになる!そんなことを言っている それはある意味正しい 中学受験を自…

最近の星人

「そう言うのって大人が考えればいいことなんじゃね? 僕もばあちゃんに振り回されて大変だったけど 僕んちもお金があるから、おばあちゃんは 頑張れば、どんないい学校にでも行けるって 一人ではしゃいで、僕を巻き込むんだ でもさ、うちの両親はそんなこと…

おばさんであること

「それがね、ほら、長いこと施設で暮らしていたから 料理はできるけど、材料はいつだって安いものか 代用品とかで、レシピ通りに買い物できる今が 嬉しくて仕方がないんだって 美味しくないものをいかにおいしく作るかが いままでの生活だったから 私のあげ…

最近の星人

すると、しばらくじっとノートを見つめていたチェリーは そのノートを取り上げると 机に投げつけた 「そんなのわかってる! 出も仕方ないじゃん、やんなきゃいけないんだから!」 急に大声をあげて、クラスの誰もが二人を見た 星人はチェリーの手を取ると 「…

おばさんであること

久しぶりに三人がそろった 明美が行ってみたいレストランがあるって誘ったのだ 美也もしばらくぶりにこんな時間を持った 真面目過ぎて思い詰める大輔の毎日に付き合うのは うんざりしていた 妹が中学受験しなくなったことを 自分の責任だと思い込み 妹に勉強…

最近の星人

「え?公式?」 「そう、それならば」 そう言って、ノートの空いているところに 公式を書いて それに当てはめて、問題文の式を書き さらさらと説いた 「そうなんだ~そう言えば塾の先生が これを使うんだぞって言ってたよ」 「うん。これは絶対覚えて! そう…

おばさんであること

大輔の純粋さに嫌気がさしてみると 妹のほうが随分まともな気がする スミカは自分の環境を受け入れ そして、正直に話、満里奈に気に入られた これからどうなるにせよ 二十歳の女の子が今までやれることを考え そして、毎日を自分の力だけで生きている それは…

最近の星人

「それじゃ、中学受験辞めた僕は 身分が下がったってこと?」 その子に聞くと 「まぁ、そう言うことじゃないの? だって、星人君の家、中学受験の塾に通うお金が 無くなったんでしょう 私立中学に合格して通うのもお金かかるし それよか、その塾が高いってお…

おばさんになること

母親に自分の恋愛相談をする高校生男子 美也はやはり、大輔は純粋すぎて 育てるのに失敗したんじゃないか? そう感じてしまった 「母さん、僕は彼女のこと どう忘れればいいかわからないんだ いい子だったでしょう? 僕のこと好きだって言ってたし・・・ 連…

最近の星人

チェリーだ 別にハーフとかではない、智恵理という名前なので 誰もがチェリーと呼ぶのだ 「バカ見たい! 今、頑張らないと、ロクな大人にならないよ」 そう、呟きながら書いている 今まで、星人のことをうらやましげに見ていた男子が 小さな声で 「チェリー…

おばさんであること

大輔は焦って、何度もスミカの連絡先を調べているようだが スミカはもともと、ネットカフェみたいなところに住んでいたのだ 住所もわからなければ、スマホの連絡先も 削除されたんだろう イライラして落ち着かない大輔に 妹が嬉しそうに 「お兄ちゃん、振ら…

おばさんであること

明美は少し呆れていたが 美也と二人きりの時に 「満里奈って、もしかしたら ほら、あの、高校卒業した頃に好きになった人 ほとんど、ヤンキーみたいなトラックの運ちゃん あの人との間に子供が出来ていたら スミカみたいな子だって思い込んでるんじゃない だ…

最近の星人

だいたい、星人は私立の小学校に行くレベルの金持ちだ それが、帰国子女だから? いや、お金さえあれば私立の小学校は だいたい、どこかに入れるはずだ それを公立の小学校に来ていることからして 誰もが、それは教師ですら、不思議に思っていたのだ 「俺さ…

最近の星人

星人の家庭に関しては この小学校に転校して来てから 父兄の間でもかなり話題になっていたから 子供たちも祖父が東大教授ぐらいは知っている この間まで一緒に塾に行っていた星人が 中学受験を辞めるというのは 受験組にしてみれば、不思議なことだ 中学受験…

おばさんであること

「私が、今、なんで食べているか 知ってるんでしょう?」 スミカは美也を見てから、満里奈を見た もちろん、美也がそれを話しただろう しかし、こんな自分を引き取るなんて もしかして、美也は話していないのだろうか? 美也は大輔に似て、いい人だから スミ…

最近の星人

結局寝るのは12時、ギリギリ、今日中って感じだ 勉強しなきゃいけないのはわかっている 私立中学に行くって家で決めてから お金もたくさんかかっているのもわかっている でも、やはり受験組じゃない子をみると 羨ましいのだ それでも、中学受験の塾に行くス…

おばさんであること

スミカがすかさず言った 「大丈夫じゃないかもよ! 施設で育ったって言ったって 一緒の施設には真面目でいい子もいたよ 高校も偏差値の高い所に行って 奨学金で大学に行ったり 美容師になって真面目に頑張ってる子いるの 私は中学のころからフラフラしてて …

最近の星人

学校では帰国子女であり たぶん、一番お金持ちであろう星人が 受験をしないというのは事件でもあった テレビでもコマーシャルを流している企業 その中枢で働いているらしい父親 そして、母親の親族がその会社を作った人らしい そんな噂は父兄の間でささやか…

おばさんであること

満里奈を見てスミカは開口一番 「おくさま!」 満里奈は笑いながらスミカを注意深く見た 汚いジャージのような上下を着ていて 髪の毛も脂ぎっている スミカは美也にとりあえずのお金をもらっていたから また、ネットカフェに籠っていたのだ でも、顔立ちは美…

最近の星人

受験しない子たちは 休み時間に、学校の宿題を終わらせ 終わった子は、塾のテキストをやっている 受験組をうらやましそうに見ていた 自分がいざ勉強をするとなると大変ではあるが 受験する子たちは、クラスの中では だいたい、自分ちよりも金持ちそうだし な…

おばさんであること

満里奈は笑いながら 「そうね、盗みを働いたり 何か犯罪まがいなことをされると困るけれど でも、それでも紹介する!」 美也も明美も不思議な顔をして満里奈を見つめる 「私ね子供いないでしょう? だから、あなたたちを見ていると 子供ってある意味リスクと…

最近の星人

小学校の休み時間 公立の小学校の六年生のクラス 休み時間に一生懸命漢字を書いている子 計算をやってる子がチラホラいる 中学受験組だ 星人は昨日の夜、You Tubeで聴いた曲の中に 気に入ったものがあって、その楽譜をスマホで探していた 「お!スマホ!学校…