秋風

イメージ 1

姉は綺麗で優しくて、かわいい服を買ってくれて
美味しいご飯を作ってくれた
まだ、五、六歳だったみぃにとって
家族は暖かい素敵なもので
姉や兄のような不満はなかった

みぃには、世間の常識が一つもわからなかったから
いつだって幸せだった
母に連れられて、男のおもちゃになることも
初めて正二のところに連れられた時も
世の中のすべての女は自分のように生きている
そう思っていた
それはそうだ、まともに小学校に通ったことも
なかったのだ
テレビすら見たことはなかった
正二に会うまで、バカだったのだが
字も書けたし、お金の計算もできた

今時だと、いや、昔でもそうだったかもしれないが
ネグレスト、育児放棄、いや、性的虐待
そうだったのかもしれないが、毎日は楽しかった
母親はみぃが大好きだと信じて疑わなかったし
母親の男たちはどの男も楽しく優しかった
声を荒げたり、手を出されることは全くなかった