2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

小百合の幸せ

小百合には友人はいない 自分では綾子を友人とは思ってはいない 綾子は友人がいない子ではなかった いつだって、クラスのリーダーシップは彼女が取る 頭の回転が速くて 明るい笑顔をの人ではなかったが思慮深くて そして、スタイルがいい 女子校だった小百合…

誘惑の花

京子はいくらモテたとしても 回りに来る男たちには全く興味がなかった 東京で仕事を探そうと、前の会社の上司や仲間を頼って 京子ならばぜひ!そう言ってくれる人間もいて 数か月、実家暮らしで喫茶店で働けば 田舎のことだ、お金を使うことはない 親たちは…

小百合の幸せ

小百合には中学のころからの友人がいる 小百合には実は友人はいない 章子はそう思っている 小学校のころからの知り合いはいるが 子育てが終わって、一緒に旅行にでも行こう なんて誘ってくれる友人は絶対にない だいたい、人のうわさ話が嫌いなのだ 噂話なん…

誘惑の花

それでも、美奈子にわかるようには追いかけられなかった それが最後のプライドで 京子が俊哉に狂っていることは 一緒に働いている店長にも佐由美にもわからなかった 俊哉は美奈子の元に戻り 京子は立ち上がれないほど、俊哉を想った それでも、何とか普通の…

小百合の幸せ

雅紀は今は女には全く興味ない だから、小百合が願えば、今ならば別れられるだろう しかし、章子は計算高い、いや、本質を見る目がある これから、雅紀はきっと、成功する そう思っているのだ 康太だってそう思う 何といっても、みぃの会社がバックアップし…

誘惑の花

二人とも恋は初めてではなかった それでも、こんなに肌合いが合い 話が通じ 手を握り合っているだけで幸せなのは初めてなのかもしれない それでも、このことは二人だけの秘密だった 俊哉は美奈子を裏切ることはできないし 京子もそれはわかっていたから 二人…

小百合の幸せ

「でも、何も、高校生なのに 男の子を好きになって、結婚まで考えるなんて 私の若い頃ならば そんなことは不良娘のすることだったのに」 小百合の中では高校生で結婚して子供を産み そのまま学校をやめてしまう 昔のヤンママのイメージが章子に重なってしま…

誘惑の花

そして、こんなに優しいのが意外だった 真っ暗な中、軽トラックから降りると 「ほら、ここ綺麗だろう? あ、もしかして知ってた?」 美しい星空を見上げて、息をのんだ京子に そんな風に話しかけてくる俊哉 京子は首を振りながら 「初めて!本当にきれいね」…

小百合の幸せ

もちろん、最初の事件の時 帰って来なかったのは章子が雅紀を好きで仕方なかったのだろう しかし、その後の様子はちょっと、違う気がする 今、雅紀はその才能を買われて みぃの元、夫と二人で新しく会社を立ち上げようとしている 章子はその雅紀の才能にいち…

誘惑の花

俊哉はそんなまどろっこしいことはしなかった それは遊びだから? 京子はチラッと思ったが それならそれでいい 京子も、このチャンスを逃す気はさらさらなかった 軽トラックの中でしっかり抱き合うと 終わった後、京子はこのまま家まで送ってくれるのだろう …

小百合の幸せ

「よかったじゃないか 僕もそう思うよ 雅紀君が特異な子であることなんか 君がすべて許すなんて ものすごく、素敵なことだともうよ」 康太はうまく言ってみた だいたい、章子と二人で小百合の意見や考えは 全部無視したのだ でも、無視されたとは小百合はわ…

誘惑の花

『俊哉、この間まで結構な車に乗ってたんだよな~ それを売って美奈子ちゃんが工場通いできるような 軽のオレンジの中古の車を買って 自分は親父さんの軽トラで仕事に回ってるんだよな あれなら、女の子をひっかけて浮気なんかもできないだろうって 美奈子ち…

小百合の幸せ

康太も今の小百合といると面白いし ホッとする 「ねえ、今日、ほら、章子の仲良しで一穂って子の お母さんに偶然、会ったのよ」 「ふ~ん、ママ友だった人? 章子の仲良しなら、今でも、学校の参観日なんかに 会うんじゃないの?」 「ほら、不倫した人よ そ…

誘惑の花

その夜に電話があり 何げない話をしながら 俊哉が 「ちょっと、出れる?」 時間は夜の10時過ぎ 京子はためらいもなく 「いいわよ」 京子の家はその地方では、誰もが尊敬するような家ではあったが 両親とも京子が大学に行った頃から 京子には何も言わなくなっ…

小百合の幸せ

「一穂、勉強全然しないの 何やかや言ったって、娘って母親に似るのね お兄ちゃんは、大学は言っても勉強勉強で 女の影もないんだって」 「ああ、あそこのお父さんもそんな人だったわね」 小百合はそれよりも今の章子の言葉 『娘って母親に似るのね』 に心が…

誘惑の花

小さな田舎の町だ 悪仲間は固まっている 佐由美の彼だって、そんなところにたむろしているレベルだ そこで、何気なく話したことが 俊哉の耳に入った 「俊哉さん、さすがですね~ 伝説みたいな恋愛してるのに 他のイケてる女までものにするなんて」 俊哉は美…

小百合の幸せ

「なんだか、私にはわからないけれど あの人幸せそうだったわ それに、やたらと褒めるのよ 前からお姑さんとはうまくいってなかったし のびのびと楽しいんでしょうね 私だったら離婚なんかされたら 生きていけないわ」 章子は笑いながら 母が父を愛していて…

誘惑の花

もちろん、それは、今まで俊哉が付き合った 俊哉の周りにいる女たちで そんな女に美奈子を知った俊哉が迷うことはないはずだ 京子は全く違う 美奈子は少し不安だった でも、その京子が働いている喫茶店に 美奈子を誘って、土曜日の朝モーニングを食べに来た…

小百合の幸せ

章子は何があっても 小百合が作ったものを食べたり 一緒に食事やお茶をしたりすることは できるだけやってあげようと思っている 多分、母には人間として大事な何かが見えてないのだ 父がたまに母のことを、可愛そうな目で見ているのには 気が付いていた 小百…

誘惑の花

美奈子はすぐに辞めるつもりだった この地域に住んでいて 同じ中学出身でも俊哉とは全く接点はなかったし 俊哉のような悪は、美奈子の目には全く映っていなかった 美奈子が中三の時に、俊哉は中一で時間的にも 二人の接点などないはずだった もし、ここで働…

小百合の幸せ

「あの事でさ、私の実家ってものすごく硬いのよ それで、実家から絶縁されて、絶縁するにあたって 先に財産分与をしておくってことで マンションとかいくつか貰ったんだけど その中の一つで彼と暮らしていたの 一緒に暮らし始めたら、夫のほうがましだったこ…

誘惑の花

美奈子の家はごく普通の農家で 父も母もまじめだけが取り柄のような人たちだ 姉が結婚して家を出てからは 美奈子が家を継いでくれる、婿を取ってくれる 美奈子はこの辺りでは、誰に言わせても いい器量で通ってるし、高校でも中の上あたりで しっかり者だし…

小百合の幸せ

一穂の母親は、奔放なだけあって 歯に衣着せぬ言い方をする でも、心から褒めてくれているようだ 「それで、その彼が起業して 会社を興すんでしょう、 部下が超エリートなんですって? まれにいるわよね~ 本当の意味で頭のいい人 頭がよすぎて、高校や大学…

小百合の幸せ

「え?」 「だって、ほら、あの学校、ちょっと古い考えの お母さんたちが多いでしょう その、筆頭が小百合さんだって思ってたのでも、全然違うのね 私自身も随分奔放なほうだし、娘にはできるだけ のびのびとした恋愛をしてもらいたいと思ってるけれど 高校…

誘惑の花

「あの新しい人、綺麗な人ね」 美奈子は聞きたいことは山ほどあったが あまり根掘り葉掘り聞くのも嫌らしい 俊哉が一発で好きになりそうな女であることはわかっている 店長も佐由美も京子が俊哉を狙っているのは 何となくわかっているでも、俊哉と美奈子のな…

小百合の幸せ

「なんだか、元気無さそうね 章子ちゃん、彼氏ができて ものすごく幸せそうだって聞いたけど」 母親の元には三人の子供の誰一人行かない そう聞いていたから 驚いた 「ああ、一穂とは高校に入った頃から 少しずつ連絡を取り合っていて 最近では週一くらいで…

誘惑の花

それでも、京子は自分からは誘わなかった 俊哉が美奈子を連れてくることがある以上 京子は俊哉に結婚を前提とした彼女がいることは わかっているはずだ それなのに自分から誘ってくる女は 俊哉の好みの女ではない! 京子はそのことをよくわかっていた 俊哉は…

小百合の幸せ

一穂とは章子は今でも友人で 仲が良いとは聞いている でも母親とはそれ以来、連絡はしなかったし 向こうからも連絡は来なかった 小百合にとっては不倫なんかした人間は 地獄に落ちるしかないという認識しかない 一穂のとこをを考えたら、小学校の そろそろ色…

誘惑の花

京子はしっかり計算していた 俊哉の女の好み 自分よりか学歴が上で、真面目な子 顔は良いほうが良くて 切り返しがうまいと嬉しそうにする たまに佐由美が話し相手になったりしているが あまりのつまらなさに 「バカか!あっちいけ!」 なんて言う所は容赦な…

小百合の幸せ

「あ!」 その人は小学校で章子の友達の母親だった 小学校五年でもう、話もしなくなった人だ それまでは、お互いの家を行ったり来たりして 子供も交えて仲良くしていたのだが 彼女、里山もその頃から学校の参観日や 行事に来ることは無くなった 最初に聞いた…