小百合の幸せ
小百合には友人はいない
自分では綾子を友人とは思ってはいない
綾子は友人がいない子ではなかった
いつだって、クラスのリーダーシップは彼女が取る
頭の回転が速くて
明るい笑顔をの人ではなかったが思慮深くて
そして、スタイルがいい
女子校だった小百合の中学の下級生に絶大な人気があった
その彼女が何かと小百合の近くにいた
休み時間にぼんやりクラスの隅で外を見ていると
彼女がやって来て
「5時間目の宿題、やってきた?
写させてくれない?
昨日、ずっとテレビ見ていて宿題やらなかったのよね」
宿題はぜったにやる小百合から見たら
全く信じられない話だ
でも、綾子はテストでは学年一だ
何となく嫌味だな~とは思っていたが
綾子と仲がいいのは、ちょっと、鼻が高い
ノートを渡すと嬉しそうに綾子の席で写し始める
他の子たちには何となくわかっている
友達のいない小百合を気遣っているのだ