誘惑の花

京子はいくらモテたとしても

回りに来る男たちには全く興味がなかった

東京で仕事を探そうと、前の会社の上司や仲間を頼って

京子ならばぜひ!そう言ってくれる人間もいて

数か月、実家暮らしで喫茶店で働けば

田舎のことだ、お金を使うことはない

 

親たちは残念そうにしたが

まだ、結婚で落ち着く年でもない強い

東京でそうやって来てほしいなんて言われる娘は

自慢でしかなかった

 

京子は、きっと、二度とここには帰って来ないだろうと思って

東京で暮らし始めた

それでも、俊哉は忘れていなかった

仕事のできるやつ、性格のいい人、見栄えのいい男

田舎ではお目にかかれないほどの男たちが

回りにたくさんいるのに俊哉のことは忘れられなかった