2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

.....の無い

ミキは翔子を思い出すことはなかった べつに翔子にならなくとも 男と気持ちのいいことができて お金に困らず 美味しいものが食べられる ストレスの全く無い生き方 結局、これが自分だ そんなミキだが 知らないうちに翔子に重なるところも もう、自分の性格に…

......の無い

中学からはどうしようもなかった 上の学校に行くのは絶望的 いきたいとは思わなかった 今のいえをでることのほうが大事だった 遠い九州でのパン工場 寮があるという 中学の先生が見つけてくれて 交番のお巡りさんに心配されながら 翔子は九州で成人になるま…

.....の無い

翔子は中学まではそんな暮らしだった そして、少しずつ回りも変わってきた 「翔子?宿題教えて!」 「翔子、また、公園で髪の毛洗っていたんだね 打ちのめしたいママがお風呂くらい うちにおいでよって言ってたよ」 「翔子!頼むよ!カスミに告りたいんだけ…

.....の無い

何度、この家には仲裁に行ったことか もう、獣だと思った ほとんど殺し合いに近いような 夫婦ゲンカ そして、その後の仲直りも 動物だ 子供がいようが警官がいようが 盛りのついた猫のように 抱き合う 翔子が翔子という名前に変えたがるのも 無理は無いし 交…

......の無い

翔子になって生きる 彼女がこの学校から転校してしまうと また、元のように誰からも振り返られることの無い人生 親の暴力に怯えるだけの毎日が始まった しかし翔子であることで前とは全く違う毎日が始まった そして自分の名前は捨てた 古い汚い服はさっぱり…

......の無い

彼女の名前は翔子さん 本人が誰をも愛する人間であるのは間違いないが、誰からも愛されているのも間違いない。 親が医者で裕福、美人の、明るい、それだけでも誰もが友達になりたいと思うのだろうに、少女漫画の主人公のように優しいとなれば 誰もが翔子さん…

.....の無い

今までこんな経験はなかった ただ、頷くだけ そして、彼女についてまわった そこで、人間にはいろんな種類がいることを学んだ 自分の親のように 自分以外はすべての人間が敵だと思っている人間! もちろん、親も自分の子供さえ敵と思っている そして、この同…

.....の無い

親は父であれ母であれ 子供を殴るものだと思っていた 小学校では何も喋らない大人しい子供だった 学校に行っている時が一番幸せだった 学校には暴力を振るう親はいない でも、勉強はわからないし だいたい、まともな家庭生活で育っていないから、服は汚いし…

.....の無い

子供の頃の記憶はただ、1つ 父親が暴れる 酒の匂い しかしそれに負けている母ではなかった 父が暴れ始め、暴力を振るい始めると 母は近くの刃物でないものを やたらめったら父に投げつけたり 父の後ろから殴りかかったり 父親が気を失えば ビニールの紐でぐ…

.....の無い

いつからだろう、彼が心に住み始めたのは もう、記憶に無いほどに時間が経っている 彼が横で笑い 彼が横で不思議などぎまぎした表情で しゃべり、そして戸惑うように 背中を向ける 人生なんて過酷なだけで 何ひとついいことなんか無い そう、思って過ごした…

.....の無い

もう、あの小汚い人間たちはいない うんざりするような安物の服か 30年も前に流行ったような おかしな服か なんとも珍妙な組み合わせの服 しゃべることもすべて自分の目の前の どん欲のためだけの会話 この街のベンチに座っている人たちにも もちろん、悲し…

......の無い

小説ブログをはじめました!コメント大歓迎です。これからどうぞよろしくお願いします! 美しい並木道 そここに置かれているベンチ 同じ東京の 同じように整備された街の一角 なのに、そのうだるような暑い風すら まるで違ったように感じる そここに置かれて…