#哲学

.....の無い

ミキは....いや、翔子はどぎまぎした 彼のその目は、とても冷やかしや遊びで言ってはいないことを教えてくれる 「翔子っていう名前も完璧なんだ 空を飛ぶような爽やかで強い、 そのイメージ通りの名前で、そのことですら 僕は奇跡のように幸せなんだ」 そん…

.....の無い

ミキは周りを気にしながら 苦笑いして別れた 新幹線が出て行って踵を返した途端に 黒いスーツケースに躓いた ここは東京駅 新幹線は始発だ 見送り以外にここに残っている人間は 特別な事情が無い限りいないはずだ 「あ、ごめんなさい」 それはミキの今まで知…

......の無い

彼女の名前は翔子さん 本人が誰をも愛する人間であるのは間違いないが、誰からも愛されているのも間違いない。 親が医者で裕福、美人の、明るい、それだけでも誰もが友達になりたいと思うのだろうに、少女漫画の主人公のように優しいとなれば 誰もが翔子さん…

.....の無い

もう、あの小汚い人間たちはいない うんざりするような安物の服か 30年も前に流行ったような おかしな服か なんとも珍妙な組み合わせの服 しゃべることもすべて自分の目の前の どん欲のためだけの会話 この街のベンチに座っている人たちにも もちろん、悲し…