.....の無い

ミキは....いや、翔子はどぎまぎした
彼のその目は、とても冷やかしや遊びで言ってはいないことを教えてくれる

「翔子っていう名前も完璧なんだ
空を飛ぶような爽やかで強い、
そのイメージ通りの名前で、そのことですら
僕は奇跡のように幸せなんだ」

そんな言葉をなんのてらいもなく言われて
実は私はそんな純粋な想いに
値するような人間では無いと
口に出して言わなければ
そう、思いながら、今、
翔子になることで
許してもらおう、そう、心で呟いた

「ここは素敵ねぇ
感情に左右されて右往左往している
私たちの生活は悲しいばかりだわ」

沢村はとんでもないとばかりに

「君が感情に左右されるって?
そういう人ではないように感じたし
そういう人ではなかったよ
あまりに感情を表さないから
僕はあのままお客で終わるのかと思ったよ」

「そう?」

そんな会話が似合う場所で
そんな会話の人と歩いている
翔子は心は高揚しているのに
ものすごく気持ちのいい落ち着きに
包まれていた