2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

悪魔が来りて・・・

早苗さんは子供が欲しかった でもそれだけは許されず 本妻の家の近くに、こじんまりとした家を買ってもらい 毎年、祖父と温泉旅行に行っていたのだが 子供が生まれると、何かとややこしくなるからと 祖父はそれだけは本妻の祖母に固く約束していた だから、…

悪魔が来りて・・・

早苗さんは実にあっけらかんとした人で 祖父の義男に愛人にされたのが16の時 今なら、大騒ぎかもしれないが 当時は割とあった話らしい 8人兄妹の真ん中あたりの早苗さんは 祖父に部屋を用意してもらって、月にその頃のサラリーマン並みの お金をもらえて、…

悪魔が来りて・・・

早苗さんは私を育ててくれた母親のような人だ 早苗さんは私の祖父の愛人だった人だ 祖父は土地を転がして、大もうけした人で 育ちは悪く、ちょっと、人がビックリするようなことを する人だった 子供の頃は施設で育ったが、そこから中学を出る頃に抜け出し …

悪魔が来りて・・・

孝樹が温かいミルクコーヒーを買ってきてくれるのを ベンチで待ちながら なんて幸せなんだろうと、手を頬に充てて そして、目をつぶる 孝樹は知り合って3年 そろそろ結婚の話が二人の間でちらほら出ている 孝樹の母親も、私なら嬉しいと言ってくれているし …

馬の耳

「馬の耳」 沙理が三人で食事中にぽつりとつぶやいた 三人が一緒にいても、お互いの意見も何も聞かない 健介はすぐにわかった 頷きながら食事をしていると 沙耶は全くわからなかったが、それを気にするでもなく 「ちょっと、今日の料理 マーサに聞いたのよ …

馬の耳

沙理は本当に行きたそうだった でも二人とも、今回沙理が合格した学校を 沙耶があきらめるわけがない そう思っていたのだが インターナショナルスクールは芸能人の子供も結構入っている それを考えたらしく 「塾代がいらないんだったら それもいいカモね お…

馬の耳

健介は話ながら これは沙耶が受け入れるかどうか 多分、無理ではあるだろうが 「その、お祖父ちゃんから塾代とか 私立に行くお金をもらえるんだったら インターナショナルスクールに行ったらどうかな? 沙理、英語はまだ喋れないんだろう?」 「私、英語教室…

馬の耳

沙理は、もう、すっかり大人だ よく、沙耶と二人でやって来たものだ 「ママは何にもわかっちゃいないの なんか、仕方ないって感じ あの、おじいちゃん、おばあちゃんだものね 私は小学校の問題は十分できるのに ママにはわからないのよ お受験は終わったから…

馬の耳

健介は思わず、確かに!と心で呟いた 沙理は父親が心の内で同意したことに にっこりとした 沙耶は何やかや言いながら、実家に車で行ってしまった この車も沙理のお受験に必要だからと 実家に買ってもらったのだ 実家に行っては母親が趣味で集めている 高い食…

馬の耳

沙理は冷たい目で母親を見る 「ママが一人で行って来てよ お小遣い、絶対もらってきてね」 「え~一人で行ってもね~ お祖父ちゃんの書斎の本は?」 「もう、全部読んだ 面白いのは推理小説だけ 他はノウハウ本! それもバカらしいのばっかり 『運をつかむ力…

馬の耳

沙理は父が帰って来てホッとした 日曜日、母親が沙理を誘う 「ねえ、沙理ちゃん おばあちゃんがお洋服買ってくれるって おじいちゃんの本だって読めるわよ 一緒に行きましょう」 沙耶は健介は誘わなかった 沙耶の実家には行きたがらないのはわかっていたから…

馬の耳

沙理の部屋はかなり難しいものが多く 横溝正史、松本清張、ちょっと、幼稚園の女の子が 読むものではなかった 沙耶に驚いて注意した 「松本清張はまだしも、幼稚園の女の子の部屋に 横溝正史はないだろう!」 健介はてっきり沙耶が読んでいると思った 自分が…

馬の耳

沙理は小さな声で 「バカは放っておけばいいわ お祖父ちゃんはお金をくれるんだから いちいち、相手にならないほうがお得よ」 健介はぎょっとした 単身赴任から帰ってくると 沙耶は全く変わった様子もなく 健介がいない間、のびのびと実家と自分の家を行き来…

馬の耳

沙理は見た目はともかく、とても賢かった 邪魔な健介は単身赴任でヨーロッパのほうに 行ってくれている 邪魔がいないうちに、沙耶はいろんなお受験塾を叩いた そして、知ったこと、沙理はとても優秀だと言う事 どこに行っても、何でもでき 運動能力も高かっ…

馬の耳

どうしてこんな合理的なことがわからないのかしら 沙理は絶対私立の小学校 お金は私が出すわ! パパだって出してくれるって言ってるのに 沙理は沙耶の母校の小学校には何回も通って 自分はここに上がると刷り込まれている 健介は従うほかなかった 生活費の他…

馬の耳

沙耶はそんなのびのびなんて 全く考えていなかった 自分は父に厳しくしつけられた 『顔だけ良くったって仕方がない、しっかり勉強して いい大学に行け!』 成績が悪いと容赦なくたたかれた それが間違っているとは思わなかった 父のように厳しく勉強させよう…

馬の耳

最初に出会ったときに恋に落ちたのは沙耶のほうだったが 沙耶は恋をする前に、学歴、見た目、会社そんなことを先に 押さえてからの恋だったから 結婚して、冷めるのも早かった でも、保守的な商人の家に生まれたから 結婚した以上は、何があっても全うしたい…

馬の耳

沙耶の家では頭の良しあしに価値があるとは思っていない 沙耶もそう思って大人になった やはり、お金をいくら稼げるかが一番だ しかし、お金をある程度手に入れると 学歴があるほうが日本では有利なことは 商売人であれば誰もがわかっている だからこそ息子…

馬の耳

沙耶は夫の健介にイライラした 夫はなぜ、自分の給料の範囲内で暮らしたがるのだろう 沙耶にとって健介は理想通りの夫だった 三つ年上、父や母が納得する、弟が二浪しても入れなかった 国立大学出身で 見た目もいいし、同級生の友達たちからは 結婚式で散々…

馬の耳

娘を私立の小学校にやって 何のメリットがあるのか全く分からない 勉強だって、私立に小学校から入ったからと言って 私ほどではないのだ 自慢ではないが、私は塾に行ったこともなければ 予備校に通ったこともない 公立の学校の勉強だけで、国立の大学まで行…

馬の耳

まぁ、私としては妻にはいろいろ不満はあったが 別れるほどではないし、娘は可愛かったし その娘を小学校から私立にやるって言うのは 娘のためにはいいことなんだろう そう思って、お金の計算をしてみるが 入学金から授業料、その他もろもろ 年間100万近くは…

馬の耳

私は、もう、何か言うのは辞めた 私立の小学校なんか想像だにできない 田舎の公立から、国立大学まで私立は全く知らない 私立の小学校なんて言ったら 私の知っているのは皇室のテレビの中の学習院くらいだ 何と言っても妻は、私立の小学校出身だが 少しも上…

馬の耳

「私が通った、私立小学校に通わせましょうよ」 はっきりとそう言う もう、パンフレットも取り寄せている 私にとっては、まだ、3歳だが 彼女にとっては少し遅いくらいだと言う 私はパンフレットを見るまでもなく 彼女が出た小学校は高い私立の学校の中でも …

馬の耳

妻は娘が大きくなるにつれて さすがに本人の前では口にはしないが 娘の容姿にうんざりしてきていた 私にはその意味すらわからない 毎日、一緒に暮らしていれば 小さな赤ん坊が、寝返りをし、お座りができるようになり 笑い、食べる それは、それだけでかわい…

馬の耳

妻の私への恋は結婚してあっという間に冷めた 子供が出来たからだ 子供は妻にも私にもちっとも似ていなかった 妻の顔がいいことは、先に話したが 私を選んだ妻の条件の中にしっかり 顔がいいことが入っていたのは確かなのだ 娘の沙理は色が黒い 私の親族の中…

馬の耳

妻の性格は、そう良くないのは知っていた まぁ、普通の人間が心に思うことを声に出してしまうのだが それが意地悪なこととか、人の悪口で 付き合っている時は、少しそれは気になった しかし、それにあまりあう、顔の良さだった スタイルはそんなに良くはない…

馬の耳

家など建てたくなかった 健介としては、一生、賃貸がよかった それを家を欲しがる嫁、実家の父親に頼み込んで 三分の二以上の資金を出し、嫁の思うとおりの家を建てた うんざりするほど 自分たちのおかげだと口にする義父母 嫁すら普段の生活で、それを口に…

馬の耳

結婚前、初めて妻の家に行った時に 母親が開口一番 「・・郡、・・・・村のご出身ですってね あのあたりは、山が多くて自然がいっぱいね 一度遊びに行ったことがあるけれど イワナが良く釣れて、江戸時代みたいなところ あなた、よくあそこからK大なんて入…

馬の耳

妻から、お金をなんとか工面してくれないか? そう言われて、嫌な顔はせずに 「うん。何とかしてみる。」 そう、答えながら、妻に対しては感謝もしているが 義父母には恨みしかない なぜ、自分が彼らの無くしたお金を埋めなければいけないのか よくわからな…

誘惑の花

中学の教師が、妻子ある身でありながら 教え子の中学生に惚れて、言うことを聞かないから 殺してしまい、バラバラにして家に隠していた そんな事件だったように思う その、子供が俊哉だったのか! 美奈子はどうして結婚したのだろうか? それでも京子は俊哉…