馬の耳
沙理は父が帰って来てホッとした
日曜日、母親が沙理を誘う
「ねえ、沙理ちゃん
おばあちゃんがお洋服買ってくれるって
おじいちゃんの本だって読めるわよ
一緒に行きましょう」
沙耶は健介は誘わなかった
沙耶の実家には行きたがらないのはわかっていたからだ
健介との結婚はつまらないものだと思っていたが
離婚する気はない
それならば、健介の嫌なことはできるだけしないようにしよう
自分だって、健介の田舎なんかまっぴらだ
トイレが汚くて、ネコが外に行ったり、入ったり
猫が好きではない沙耶は落ち着かないのだ
沙理は冷たく
「洋服は、もう充分!
パパが海外から買ってきてくれた、お洋服が大好き
おばあちゃん、フリルのついたピンクのダサいのばっか
選ぶから、嫌い!
あ、ママ、そんなことおばあちゃんに行っちゃだめよ
沙理はお勉強で忙しいって言っといて
ママって空気読めないこと突然言うこともあるから
気を付けてよ」