馬の耳
沙理の部屋はかなり難しいものが多く
読むものではなかった
沙耶に驚いて注意した
「松本清張はまだしも、幼稚園の女の子の部屋に
横溝正史はないだろう!」
健介はてっきり沙耶が読んでいると思った
自分が知っている限りでは、本なんか読む女ではなかったが
さすがに、自分が海外赴任中は時間を持て余したのか?
そう思ったのだが
「あれは沙理よ
あの本はパパの書斎から持ち出したの」
「え?あれを読んでるの?」
「そう、沙理は小学校受験の勉強なんか馬鹿臭くて
やってられないみたいだったのよ
めちゃめちゃ賢いの
私がやってほしいのはお受験の問題なのに
そんなの、10冊くらい1時間で終わらせて
あんな本ばかり読みふけっているの」
ああ、それで、あの時に
まるで大人のように
義父をバカにしていたのか