2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

.....の無い

緑の銀杏並木 古い校舎 そこここに散らばる学生たち ミキの人生には一つも無い風景 その中に立つ銀縁のメガネの 背の高い、優しげな佇まい こげ茶のワイシャツの腕をまくって 細めのチノパン 片手に持っているのは ノートパソコンではなく 重そうな古い学術…

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ミキはへぇ~さすが私の好み! そう感心はしたが その後、どこかで、どうせ寝るのだろう そう、思いながらも 「素敵そう、楽しみにいくわ」 他のお客に誘われたときと同じように さらっと答える 確かに恋愛慣れしていない男は いくつであろうがいる これがミ…

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「外で、店以外ってことだけど 外で会えないかな? デートしてくれる?」 ミキはこの流れはやっぱり 普通のお客と同じ 店の外であっても 結局。ラブホテルでSEXするだけだ まぁ、いいかと自分を慰める 外で会うのは禁じられているし 店の数倍金を出すってお…

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長岡翔子 そう、答えた 翔子と答えた以上は 沢村とは結婚まで持っていかない そう、決心したも同然だった 「翔子さんか、いい名前だな 早く聞けばよかった この数ヶ月間 ミキさん、ミキさんってつぶやくたびに 心が震えていたよ 本名じゃ無いって、まったく…

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沢村健太郎 某有名国立大学の文学部助教授 お客に名刺を要求することは多い 「名前知りたかったの」 「こんど、電話かメールしてもいい?」 割と早い段階でそんなことを言う すると、本当に一回きりと考えているお客は 名刺は出さないが ミキを気に入ったり …

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「名刺、もらえます?」 ミキは彼の名前を知りたい、そう思った 彼がミキに恋をしてるのは確かだと思う でも、だからと言って ミキは彼に近づく気はなかった 彼を見てると ミキをおかねを払って抱きに来る以外は すべてが好みの人だった 横を向いて照れる所 …

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そんな風に彼が常連の客となって 一年も経った頃 いつものようにミキの部屋に 客として入ってきた彼の様子がおかしかった 最近、なんとなく、イライラしていて ミキが思っている彼らしく無い そう、気にはしていた 上等な人間ならば感情を出すのは とくに負…

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だからと言って 社長に見初められて 完璧なOLをやっていた頃に いいなと思った男は ハードルが高すぎる 本気になるのはわかっていた そして、自分がもと風俗嬢であるってことも 晒せるような純愛しかしたく無いと思っていた でも、そんな相手いるはずも無い…

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彼は同じように帰って行った なんだ、あのタイプのお客か..... あのタイプならベテランのミキのことだ あしらい方は慣れている この日までの何かを期待していた自分を 思いっきり笑いたくなる 何かに期待しない 日々、誠意を持って自分の生活ができれば それ…

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屈託の無さそうな笑顔 普通に仕事をする すると、体を近づけた途端に 裸のままぎゅーとミキを抱きしめた 「ほんとに会いたかったんだ」 ミキは不思議な気がした その抱きしめ方は 多分だけど、 ミキのことを本気で好きなんだと思う そんなお客はたまにいる …

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「ヤァ!やっと見つけた」 あの時のあの人 お客でくるのかぁ..... やっと、見つけた! そう言ってもう一度会える夢はたくさん見た 忘れようとしているのに 夢は見た でも、もう一度会えるシチュエーションは お客としてではなかった でも、営業の時のミキは …

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自分で自分を笑う もう、そんなに若くはない 普通の女のように結婚したいなんて考える 環境ではないし そんな願望もないし まさか、自分が誰かに恋するなんてことも 絶対にありえない ちょっと、世の中の真っ当な人に対する 反応をミスっただけだ そう、軽く…

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こんな思いをしたのは久しぶり あの、社長に見初められて 普通のOLに戻るまで 他の仕事にはつく能力も無かったし 興味も無かったし 他にの人間関係も知らなかった だから若い時はこんな思いは知らなかった 他の環境の人間に会うことはなかった あの、後から…

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端正な顔 色白で屈託が無さそうな瞳 なんて私好みなんだろう ミキはそう、思いながらも 同じステージの人間ではないことは 自覚していた 多分、生まれからして違う いや、前世から違うのだ 案の定、その美しい冴え冴えとした顔に 嫌悪感が走った ミキはしま…

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今日は天気がいい 朝ごはんは食べてないから、モーニングを 食べよう! 紅茶がすきだけど、朝一番はコーヒー ミキは世間話は得意だから 気持ちよく話が進む モーニングを食べ終わった頃 「話がうまいね? 仕事、何か聞いてもいいかな? 僕は大学で文学を教え…

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おそるおそる、okした 女でもこういうタイプはいる ミキのビジュアルだけ見て 人懐っこく近づいている女 ミキが化粧っ気がなくて 白いブラウスかTシャツに細身のパンツ さっぱりした服装はたしかに風俗の女には 見えないのかもしれない でも、後のことを考え…

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笑顔で彼は 「今の少女、驚いたね!」 ミキは困ったような顔で笑う その困った顔を見逃さず 「いや、面白くてって意味だよ」 優しい受け答えにミキは久しぶりに どぎまぎする 「気にしないで」 そう言ってさっさと行こうとする だって、 やっぱりステージの…

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ミキは周りを気にしながら 苦笑いして別れた 新幹線が出て行って踵を返した途端に 黒いスーツケースに躓いた ここは東京駅 新幹線は始発だ 見送り以外にここに残っている人間は 特別な事情が無い限りいないはずだ 「あ、ごめんなさい」 それはミキの今まで知…

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そんな風花の見送りを 誰もしようとしないのだが ミキは新幹線のホームまで見送った 真っ白な細身すぎるパンツ でも、足は太い 金のサンダル 黒のジャケットにスパンコールのついた 真っ赤なタンクトップ 娘も金の髪の毛にピンクのジャージの上下 スパンコー…

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風花とはよく飲んだ 小学生の娘がいる だから、朝は絶対に6時には起きる 朝ご飯はあったかい味噌汁を 朝からカツオで一番出汁をとって作る そして、おかずは納豆! 人のお客は取る 支配人に手を出す 化粧は濃い 小太り! だいたい皆んなに嫌われているのだが…

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ミキは男の好みだけは立派だった 心の間違いの無い優しい人 常識を踏まえその年齢なりの 世の中の地位にいる人 身長は175以上、顔は良いほうがいい 服のセンスも悪く無い そして、独身、彼女無し! このタイプ以外には恋心なんか抱かない しかし、このタイプ…

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その8年が前の事務職の8年と 違っていることなんて何も無い ただ、時間が経って、給料が入って来る それだけで、給料の額の違いはある ただ、世の中の常識くらいは知っているから 事務職の時に前に風俗の仕事をしていたことは 黙っていたし 風俗の仕事をして…

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朝は11時頃に起きる コーヒーを飲んでトーストを食べる 洗濯をして さて、お昼から何を食べようかと考えて 買い物に行く コロッケにしようと決める 惣菜売り場でコロッケを3個買って 1日分の野菜が入っているという 野菜ジュース、インスタントの味噌汁 家に…

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要は風俗でお客を喜ばす手管を 覚えることも パソコン業務に精通することと同じだ ケーキ職人がケーキ作りがうまくなるように 魚を下ろして刺身を作る工程ができるようになるのと まったく変わらない 学校の先生が授業を教科書に沿って教える それとまったく…

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ミキならば世の中のヒエラルキーは 考えないし、風俗が悪いことだなんて そんなには考えない 同じ時間の仕事 もちろん事務職とは職種は違うが ミキにしてみれば何も変わらない 体を動かしてやることだ 事務職が頭を使ってやることだというのは違う 掃除をす…

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さて、何か仕事を探さないと 生きていけない また、風俗に戻ろうか 楽だし、お金は入るし 最近、と言うかあの社長のところで 働き始めてから男と寝てない すべてのひとを愛することはできる どんなに嫌われていても どんなに嫌な奴でもいいところを見つけ そ…

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社長が亡くなると 長男が帰ってきて会社を継ぐ 社長の片腕としてやってきた ミキの今までの仕事ぶりなんか 認めるつもりはさらさらなさそうだった 「君は親父がどっかのキャバクラから 連れてきたんだって? お袋が僕の子供の頃に死んで 長いこと独身だった…

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まっすぐに生きていく そんな気持ちの良さを思い出す 人に後ろ指さされない生き方は 自分の中になんの指針もなくても それは美しいものだと感じる その社長のところで ミキは5年間仕事をした 常に全力で相手に対する そんな気持ちの人間であれば 5年も仕事を…

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その社長はそんな人ではなかった 事務所ではミキも 綺麗に掃除することや お茶もお客さんや社長の様子を見ながら 心を込めていれたし 電話の受け答えも 丁寧に正確に社長に取りついた 「やはりね。 ミキちゃんはあの当時から どこか他の子とは違うって思って…

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この仕事を辞める時に 店の人から随分 「会社の事務員なんて建前に決まってるよ 会社でタダで出来る女が欲しいだけさ タダでできて電話番やお茶汲みまでやってくれる都合のいい女が欲しいだけさ」 そう、言われました 都合のいい女でもいいかな.... ミキは …