......の無い

「名刺、もらえます?」

ミキは彼の名前を知りたい、そう思った
彼がミキに恋をしてるのは確かだと思う
でも、だからと言って
ミキは彼に近づく気はなかった

彼を見てると
ミキをおかねを払って抱きに来る以外は
すべてが好みの人だった
横を向いて照れる所
答えに詰まった時、途方にくれたように
その白くて細い指で髪の毛を触る癖
その髪型、爪の切り方、下着、洋服
ミキと話があった時の
嬉しそうなテンションの上げ方

でも、風俗に来るような男で
でも、ミキとは身分の違う男だ

ミキが好きになるべき相手ではない
でも、彼はいったいいくつだろう?
多分、30くらい
それまで誰かに恋をしたり
愛したりしたことのない男