2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

全く何もないまま

正二はそれまで店の女の子たちは 商品としか見ていなかった 自分を育ててくれたじいさんや江さん そして、その仲間たち 嫌いではないがどうしようもないやつらだ とも思っていた 感謝はしている、だからその頃のメンバーだけは 破格のお金を払っていた ミキ…

発達障害の母

そうして、ネコと一足先に帰って行った 私が後から村に帰ったときには すっかり話はついていたのだろう 朋ちゃんは今まで通りの生活に戻り 雅ちゃんの旦那は何事もなかったかのように みっちゃんの病院跡地に大邸宅を立てた 私が帰ると 朋ちゃんはやたらうち…

全く何もないまま

莫大な利益を生むようになったころ チェダックは薬のやりすぎで死んだ もちろん、遺産は正二が相続する手続きは終わり すべてが正二のものとなった じいさんが江さんに 「正二はチェダックがほしがればほしがるほど 際限なく薬物を与えていたからな」 「いい…

発達障害の母

よく人殺しはまた自分の欲望のために 同じ過ちを犯し 最後には目が気いらなかったと言うだけで 人を殺すようになるから絶対に捕まえなければ みたいな話があるけれど 村ではそれはない 許す代わりにそこでクラス以上 誰もが脅迫の種を持っていることになる …

全く何もないまま

普通の人間が考えたらとんでもない奴だと 思われることだろう この仕事を始めたのも、16歳の時だ でも、チェダックはすぐに彼が連れてくる男の子の 趣味の良さとか、着せる服のセンスとか がものすごく御客の好みをわかっているのを感じて 店を任せること…

発達障害の母

夫や子供たちに私の郷里の人間は 会わせたくなかった 夫はちょうど出張中だったし、上の子はイタリアに留学中 下は北海道に研修で行ってる そうじゃなければ、私はホテル代を出してあげても 朋ちゃんをここには連れてこなかった 二人とも、家族がみんな留守…

全く何もないまま

正二は生まれが生まれだから 女でも男でも体を売らせることに 罪悪感がない だいたい、ここで働いている女たちだって いやいや働いている女はいない 誰もがほかに能力はないし 誰にもわからなければまぁ、割と簡単にお金になるから それに何よりも男に抱かれ…

発達障害の母

ネコがやってくる 朋ちゃんはうちの中、子供部屋、私たちの寝室まで 遠慮なく見て回ると うらやましそうに 「あ~ちゃん、すごいね。 あのお母ちゃんで東京でこんな風な生活ができるなんて 頑張ったんだね」 朋ちゃんも雅ちゃんと似たところはある でも悪気…

全く何もないまま

繁華街でぐれている美少年を探す そして、ゲイの店に入り浸り 徹底的に傾向と対策を練る すると、正二のようなタイプが好きな芸もいるし ただ、見た目だけじゃなく やはり、人間性が大事なんだと言うことも学び 多くの大人の男と付き合ってみて 完全にその世…

発達障害の母

朋ちゃんはさっと立ち上がると 「お願い、ここにいて 私、もう、うんざりなの。 このまま田舎に帰るから、荷物だけ取ってくる」 そう言って、本当にあっという間に帰って来た 「大丈夫なの?」 「いいのだって、なんとなく脅かされてやってたんだもん 奥さん…

全く何もしないまま

教師には何とも言いようがない 正二の言うことは正しいのだ これ以上どうしようもない 正二は中学で学校は十分だと思った 今知りたいのは、お金の儲け方だ この店を自分のものにする ここのオーナーはゲイだ 中学を出たばかりの少年としては 何とか入り込む…

発達障害の母

朋ちゃんは私がプレゼントしたお皿を握りしめて 「東京に来たら、おしゃれなワンルームで ドラマみたいに暮らせるって思ってた だから、一度、このお店を抜け出して 家において来た住所、雑誌の後ろを見て書いたんだけど あそこに行ってみたの でも、高くて…

全く何もしないまま

今までなんとか、ごまかしながら 自分の意見も言わずに学校生活を送って来た 正二はもう、上に行く気もなく ちょっと、反感も持っていた それを教師は反抗期と取ったが じいさんは正二が反抗期に入るなんて考えられない そう、感じていた 「先生、どうして、…

発達障害の母

「親なんてうんざりだったけど ここのほうがもっとうんざりだった」 さっきの店の様子を見ていても確かに東京に来て 羽を伸ばしている感じではなかった 「あのお兄さんにすっかりやられた感じ そういうやつだけどね ここは人手が足りないんだよ だから、働い…

全く何もしないまま

教師はいい人で真剣に正二のこれからを考えてくれた ちゃんとしたところに就職しよう できたら、定時制でもいいから高校に行こう そんなことを必死で正二に話し じいさんや江さんは 「高校に行きたきゃ行けばいい お金は出してやるよ なぁ、みんな?」 そう…

発達障害の母

それは殺人じゃない! でも、それでも村ではなんとなく許すのだ 「それで、兄さんは、あ、姉さんの旦那だから 私は今でもそう呼ぶんだけど 私の願いをかなえてくれるって言ったの 私、長いことあの村から出たいって思っていたんだけど お金もないし、親はい…

発達障害の母

それは・・・・ 「下着が違うって、どういうことだと思います? 私はそれ以上は考えないようにしてるけど やっぱり、やばいでしょう? あの村でそれがわかるの夫以外は私だけ」 これはどういう話なんだろう いや、私はあの村が昔ながらの古い考えの 人間たち…

全く何もしないまま

正二は小さなころから教育テレビだけを見て育ったから 普通の子供よりもまっすぐな間違いのない常識を知っていた だから、先生の気持ちはよくわかった しかし、ここの人間たちがない頭を絞って 何とか皆で立派な子育てをしようとしているのも知っている 「先…

全く何もしないまま

正二のほうが先生が気の毒になって 「じいちゃん、ちょっと、先生と話してくる」 そう言って、真っ赤になって固まっている教師を促した その小屋の中にいるのに耐えられなかった担任は 促されてすぐに立ち上がり 正二が誘った公園のベンチに座った 「先生、…

発達障害の母

私は自分が彼女を連れて帰りたいわけではないし この場所であったことは絶対言わないから そう言って、あの店で買ったお皿を出した 「よかったら、これ、使って」 朋ちゃんは嬉しそうに包装を開いて眺めていたが 「あ~ちゃん、あそこの村の出身とは思えない…

全く何もないまま

それで、幸せだったのに 若い張り切ってる学校の担任は すぐに家庭訪問にやって来た 「ここで、生活しているの? お父さんとかお母さんは?」 学校の書類には適当なことを書いていたから 保護者の名前はじいさんと江さんになっていた 江さんは夕方から爺さん…

発達障害の母

そのせんべい屋を覗くと 聞くまでもなく、そこで働いているのは 朋ちゃんだった 朋ちゃんも私を見るとおどろいて飛び出してきた 「あ、あ~ちゃん、どうしてここに?」 「ちょっと、気になって。 良かったら話しできる?」 朋ちゃんはエプロンを取ると すぐ…

何もしないまま

正二は人として覚えなければならないことは すべてテレビで覚え ほとんど普通の人間なら知らなくていいことは その居間で覚えた ロクなことは教えないくせに 正二が学校に入るときは大騒ぎだった ものすごいお金好きでけちな小夜さん 男に稼いだお金すべてを…

発達障害の母

西新井と聞いたときに私は雅ちゃんの話を思い出したのだ 雅ちゃんは私が田舎に帰ったばかりの頃 あの喫茶店でよく話した いや、話したというよりは 雅ちゃんの自慢話を聞いたのだが その話の中に、西新井というワードが出てきた 雅ちゃんの、あの旦那の親友…

何もしないまま

でも、ここの店に溜まっている人間たちは 正二を可愛がってくれるのは可愛がってくれて 絶対に飢えさせたり、手をあげたりする人間はいなかったが ほとんどテレビの前に置かれたて過ごし 気が向いたらあやしてもらい 周りはいつもだらしない恰好した女たちで…

発達障害の母

朋ちゃんはこの人のことが好きであこがれていたのだろうか ここの住所をあの暗い家において来たのは そんな憧れがあったのだろう 「その女の人は何か買っていきましたか?」 「ううん、値段見てびっくりしたみたいで そこのお皿ほしそうだったけれど 後ろ見…

全く何もないまま

家はあるのに奥さんが怖いからって 月の半分はここで寝泊まりしている爺さん でも、正二はなんとなくわかっている 正二を一人ぼっちで寝かせるのが忍びないのだ 「しっかりしてんなぁ! 正二はきっと大したもんになるぞ」 そんなことを江さんに嬉しそうに言…

発達障害の母

それでも、勇気を決して入ってみる 「あ・・・・・」 私は気が付いた、この店は雑誌とかによく乗っている 主婦に大人気のバラエティタレントの店だ レジのところにその人がいた この住所はたぶん、雅ちゃんの妹が 朋美ちゃんが雑誌か何かで見てそれを写した…

全く何もないまま

小学校に上がったころからの記憶しかない その前はひたすら煌めいたライトや 薄暗い笑い声、そして、泣き虫の女のひそひそ声 そんなものの中で小学校に上がる年になって 小屋の中の一番年上の江さんが 「ちょっと、はがき来てたよ 区役所から 小学校には上げ…

発達障害の母

ネコは初めに雅ちゃんの妹が家においていった住所には 行ってみたのだが、もうそこにはおらず 西新井ってところらしいとしか聞いていなかった 土地勘のまったくないネコよりも 私のほうがたぶんわかると思うそう言うと 忙しいネコは申し訳なさそうに その最…