全く何もないまま

正二はそれまで店の女の子たちは
商品としか見ていなかった
自分を育ててくれたじいさんや江さん
そして、その仲間たち
嫌いではないがどうしようもないやつらだ
とも思っていた
感謝はしている、だからその頃のメンバーだけは
破格のお金を払っていた

ミキを見た時
正二もまだ十代だったが
ミキもまだ若かった
そして、ここに来る若い女のことは
全く違っていた
ここにくる子は皆、何らかの家庭の事情を持ち
ロクでもない親に育てられたのが一目でわかる
目つきをしていた
どんな美しい子でもそうだ
無垢な目の子もたまにいるが、そういう子は
家族も手を焼く発達障害の子だ

そのどれでもない
ミキは正二のプロデュースなど全く必要としない
とにかく売れた!
それは彼女の美しさもあっただろうが
正二は彼女にはこの望んでいない環境にいても
自分をちゃんとプロデュースする力があることを
見抜いた