2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

不思議なことを数えれば

「私ね、お姉ちゃんにずっと言えないことがあったの」 ミキは驚いたようみぃを見た みぃは少し言いにくそうに 「お姉ちゃんはずっと、お母さんを憎んでいたでしょう?」 ミキは考える間もなく頷いた 今もそうかもしれない あの母親を思い出すのも嫌だった 「…

発達障害の母

確かに頭が足りない分 雰囲気は幼く、かわいいおばあちゃん!というのがうちの母だから 爺さんたちが寄ってくるのもわかる気がする そんな様子を見ていると この母の猛アタックにタジタジしながらも 嬉しそうな若いころの父を思い出されて 私それで涙が出て…

不思議なことを数えれば

みぃとは深い話をしたことは一度もなかった ミキは康太に勉強をさせ 一生懸命になっていた時 最初はみぃだって、まともに育てなきゃ そう心に誓っていたのだ しかし、母が連れ去ってしまった 速水が高校を中退して、速水を預けるまで みぃのことは母に一番似…

発達障害の母

老いの恋愛に関しては その人生の終わりにそれまで生きてきた 賢さを十分に生かして、したければすればいい わたしには全く関係ないことだと言いたい いや、言いたかった 私に隠れてガラケーの電話に出る母 何か楽しいことがあるのだろうと思っていると 案の…

不思議なことを数えれば

速水の結婚式をすべて仕切って イタリアでド派手に開いてくれたのは みぃだった みぃもこれからの速水のことは心配していたのだ そして、自分の財産の半分は速水のおかげで作られたものだ どれだけ喜んでも喜び足りない感じだった タケオのことはもちろん知…

発達障害の母

子供のころ、人の迷惑にならないようにしろ 毎日、愚直に頑張れ 真面目に生きろ! そんな価値観を与えられ、それにどれだけ苦しめられたか 迷惑をかけないようにしろと言うのはわかるが 迷惑をかけられたとき、人間として我慢して対処することが 正しいなん…

不思議なことを数えれば

ミキは幸せだった 康太が中学に合格したとき 自分が沢村と一緒になったとき そして、速水が生まれた時 もちろん、どれも嬉しかった でも、今が一番うれしい いや、一番喜んでいるのは タケオの両親かもしれない 高校受験に失敗して、そのまま繁華街に消えて…

発達障害の母

もちろん、その爺さんとの恋愛を反対はしないし 今更、父がどうのなんて言うわけもない ただ、危ない!自分たちが交通事故で死ぬのは仕方がないが 他人、もっと、言えばこのバカな老人二人が 若い人でも事故で傷つけようものなら 子供として身を削られる思い…

不思議なことを数えれば

「いったい、僕を誰だと思ってるの? この世界ではベテランで人気のある木佐さんが 警戒する男だよ 腕は確かだし、うっかり妊娠なんかさせるはずないよ ハーミー自身は気が付いていないかもしれないけれど ハーミーの絶大な人気は、普通の女の子のような透明…

発達障害の母

昨今、老人ホーム内や町内での老人の三角関係 恋愛のもめごと それで事件まで起こっているが 東京にいるときは本当に他人事だと思っていた 母は頭が足りない分、お金には十分汚いし 自分では心の奥底で、他の人間より劣っていると自覚している ・・・・と思…

不思議なことを数えれば

速水は驚いて、自分の心を隠すことを忘れて タケオを見た 「やっぱりそうか そうなるんじゃないかと、心の奥底で望んでいた」 そのまっすぐな目に速水はえ?と驚く 望んでいた? 「とっくの昔に気が付いていた ハーミー、僕のこと好きだよね?」 速水はまる…

発達障害の母

老人会の集まりなんか、できるだけタクシーを使ってほしい 今時の田舎は老人の車の運転を辞めさせるために コミュニティバスを出したり、 タクシー券を配ったりと何かと考えてくれているのに その、爺さんの車でどこにでも出かける 本当に走る凶器にしか思え…

不思議なことを数えれば

キャバ嬢を追っかけてる金持ちの爺さんにもいるが とにかく、速水は義理だとか人情とか そしてお金に関して借用書がなければ チャラであることは絶対的なこの世界の常識なのはわかっている そして、16の時からこんな世界で体を売っている タケオだって同じな…

発達障害の母

その爺さんは昔からこの村にいたが 奥さんがしっかり者でその陰に隠れていて いるのかいないのかわからないほどの人だった それが、奥さんが10年前くらいに死んでから 何かと元気になった 若い頃ならば、少し頭の緩い母のことなど 歯牙にもかけなかったであ…

不思議なことを数えれば

世の中の常識で一番大事なこと お金のことだ ほとんどの人がお金を借りたら絶対に返さなければならない このルールにのっとって生活している 小さな子供でも、物をお金と交換するということは知っていて 何も理由のないまま それが目に見えない愛だとか、心…

発達障害の母

世の中のすべてが長生きを望み 長生きを奨励している、現在 母はマニュアル通りに長生きがすべての善であると信じている 50代を迎え人生がどんなものかあらかた把握した自分としては バカバカしいにもほどがあると思う まず、体が正直だ もちろん、今は医療…

不思議なことを数えれば

速水は真剣に対峙するものが見つかって 毎日が楽しくて仕方がない でも、本当はタケオに知らせてみたかった どんな顔をするだろう 嫌そうな顔をされるのが怖いのだ タケオはたぶん、困った反応しかしない そして、速水から逃げるか? いや、こんないい金づる…

発達障害の母

私の今、少しでも人に評価されるようなところも 嫌なところも、すべて母を意識するところから出来上がっている 本当ならば評価されるようなところが 母から来ているのならば、 そこは感謝しなければいけないのかもしれないが どうしても、そんな風には考えら…

不思議なことを数えれば

速水は子供のためになることはすべてやった もちろん、まだ、三か月くらいなのだが これが楽しくて仕方がない おなかの赤ん坊のために体にいいものは 何でも食べる それも食材探しから初めて しっかり自分で調理する 運動も適度に体にいいように 散歩をした…

発達障害の母

もちろん、心さえ美しければ どんな天然も許せる それは、あの若いころの恋愛が教えてくれた しかし、彼と知り合って惹かれたのも どこかに母に似ているところを見つけていたのかもしれない そして、あの恋愛を知ったことで 母をもっと嫌いになるわけだが そ…

不思議なことを数えれば

「一度、その彼に話はしてみれば?」 ミキがそう優しく言ってくれるのに 速水は首を振った 「そんなこと話せる相手じゃないの」 速水はどう考えてもタケオには話せないと思った 自分はお客だ タケオだってそんなに割り切れない相手ではあろうが 子供なんか思…

発達障害の母

あんなに自分から勉強が好きでもないのに ひたすら勉強したのは母がアレのおかげだ そして、できるだけ空気を読む人間になった これは良いことか悪いことかわからないが 今時の天然って言う人柄のくくりに 憎悪を燃やすほど嫌悪感がある 天然ならばどんなに…

不思議なことを数えれば

速水は驚いてミキを見た 「え?おめでとう?」 「そうよ、本当に何よりうれしいわ」 「私、結婚していない」 「そんなことはどうでもいいわ 速水に赤ちゃんができたことが嬉しいし 幸せなことに、赤ちゃんを育てるのに困る環境じゃないでしょう?」 「え?で…

発達障害の母

ひたすら、母をデスっている自分に 嫌気がさしてくる もちろん、母が発達障害であったことが 良かったと思えることはたくさんある まず、他の子供のように 親に勉強しろと言われて、いやいや、勉強する なんてことは絶対にない 勉強が発達障害の母が中心の家…

不思議なことを数えれば

人間性にはものすごく遺伝、血が左右する ミキは母を恨み、自分の血を呪ったが 子供にどんな血が流れていき そして、それがどんな作用を及ぼすのか 計算では絶対にわからない もちろん、犯罪者の血など入らないほうがいいが 想像もつかないほど、そこから素…

発達障害の母

まぁ、娘としてはそんな母を可哀そうに思って 家の中で歌うことは苦笑いしながら許すのだが そして、うちの家族は母が下手なことを はっきり口にするタイプの人間ではない 褒めもしないが・・・・・ そこで母は調子に乗って外でも歌う 他の人間はとりあえず…

不思議なことを数えれば

体を重ねていても それがタケオのどんな思いからかなのかはわからない ただ、無性に性欲に溺れていたのか 何か嫌なことがあって心が動揺していたのか そして、速水としては 速水への思いが抑えきれない夜だったと思いたいが 自分が反対の立場に立つことが出…

発達障害の母

しかし、度を越した音痴なので聞くのが苦しくなる しかしそれは、やはり脳の何かかが足りないせいなのだろう 本人にまるで自覚がない その音階を出せていないことに気が付いていないのだ このことと、笑いを理解できないことがつながって 母の中の明るい家庭…

不思議なことを数えれば

速水は最近、少しご飯を食べられない 胃の調子が悪くて、もどしそうになる そんなことが続いて ミキは速水の外泊が一週間に一度の習慣になったころ 心配していたことを聞いてみた 「ねぇ、速水 もしかしたらだけど、妊娠しているんじゃない?」 それはないと…

発達障害の母

難しいのは笑いのほうだ わかりやすく、結婚や病気が治ったとか 成功の話には分かりやすく一緒に喜ぶが 冗談とかがわからない、誰もが笑っている時に キョトンとしていることが子供のころには多々あった 父は落語が好きでよく聞いていたが 母はそれが全くわ…