2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

速水の毎日

速水が一週間に一度外泊するようになった ミキはそれを心から喜んだ 沢村は普通の父親のように娘に四角四面の常識を振りかざしはしない 「彼女ができたら、君と僕のように 幸せな結婚にたどりつくといい でも、それが人を好きになる本当の幸せの形ではないの…

発達障害の母

母はマニュアルとして人間関係のやり方を覚えている その学習はかなり見事なものだ 人の悲しみ、病気になった、死んだなどは割かし簡単だ 悲しんだふりをすればいい だから、母はそんなふりはうまいが涙は出せない しかし普通の人はふりがうまいとは思わない…

速水の毎日

ミキにとって速水が幸せになることが一番だ 自分としては申し分のない結婚が出来た もちろん、結婚が幸せの証明にならないことは ミキが一番よくわかっている あの母親と父が早く別れていれば ミキ、康太、そしてみぃの三人はもっと別の道があっただろう で…

発達障害の母

母に対する愚痴はほとんど 「かわいいおばあちゃんじゃない 歳いったら、そう言うもんよ ちょっと、お年寄りに厳しすぎだよ」 そう言われると心はざわつくばかりだ 誰もが自分の母親と楽しい思い出があるんだと思う でも、今、振り返ってみて そんな物はひと…

速水の毎日

あ、戻った! 速水はタケオが夜の繁華街で暮らしていた 魅力的でそれでいて普通の青年の空気を持った男に戻った そう思いながら、その手を見ていた 細い白い手、ここ二年くらいその手は鉛筆を握り そして思っていた通りの理想の自分になった彼 それでは満足…

発達障害の母

実際のところはわからないが私は確信した しかし、こんな話をその友人にすると 「そんな母親いるわけないでしょう 何やかやと母親のせいにしすぎだよ 人のせいにする人って ほら、あの人!」 そう言いながら嫌なママ友のことをしゃべり始める そうだと、私も…

速水の毎日

速水は自分の気持ちをさらけ出せるような人間ではなかった 普通の恋をするのはあきらめていた 親も公認してくれて みぃがプロデュースしてくれて まったく仕事だと割り切ったAV女優 もちろん、今まであるようなものではなくネットを使った 目新しいもので…

発達障害の母

彼女と私は学歴も年齢も、そして、家族関係も ほとんど一緒で話も合う 彼女も高卒で専業主婦の母親には 学生時代は話すこともないと離れていたが 子供が出来たとたんに、実家に帰り 子育ての色々を教えてもらっていたし 料理も何かとコツを習っていた そんな…

速水の毎日

速水はそのタケオの言葉を 顔は全くのポーカーフェイスで頷いたが 心の中は思ってもいない展開に 期待できるのだろうか? いや、ただ、まっとうな世界では満足できなかったタケオが 友人として唯一すべてを話せる人間として 速水に話しているだけだ そう、何…

発達障害の母

そして、こういう親子関係、家族関係には この世の中はなんて生きにくいのだろう 基本、親には感謝をというのが基本だ 医者の友人と子供のころからの友人 その二人以外の友人にに少し弱ったときに つい愚痴ったりすると 徹底的にたたかれる 「それは親のせい…

速水の毎日

「高校受験に失敗したからって ごく普通の家の子供が、いきなり繁華街で たった一人で暮らし始めるなんて ちょっと、異常だよね 僕自身、普通で賢くてちゃんとした人間みたいな者にあこがれるけれど そんな風にはとてもなれないって気が付いたんだ 木佐さん…

発達障害の母

毎日毎日、そんな生活が続くのだ 全く無視して生きていくか、発達障害の人間相手に いちいちキレてしまう生活をしないと 心は疲弊するばかり でも、キレた後に来る、すさまじい後悔の念 自己嫌悪で自分がすごく嫌になる 父はそれから逃れるために酒におぼれ …

速水の毎日

何と答えていいかわからず 速水は話を昔の仕事で濁した 「そうだね~普通の人間からドロップアウトした人間の 吹き溜まりだったり 普通にもなれない人間の集まりだって思われてるけど 実際はそうでもないよね 有名人のゲイとか独身女優とか女医、社長 多かっ…

発達障害の母

全く天使のような無邪気さならば私も父も喜んで受け入れたであろう しかし、母の中にある幼稚園生レベルの無邪気な意地悪 嫉妬、ひがみ、欲張り、そんなものが無邪気であればあるほど 私たちを苦しめるのだ もらったもので自分が気に入ったものは箪笥の奥深…

速水の毎日

その、気持ちはわかる気はした 今の速水がそうだ 健全な毎日を送っているのに まるで違う自分と向き合っているような気がしている 「わかるかもしれない もう一度、元に戻りたいわけじゃない でも、今の場所に居場所があるわけでもないし 人が見たら、お金の…

発達障害の母

美味しいとは間違っても言える代物ではなく だいたいイエスマンで気を使ってばかりの言動である父ですら 美味しくないと言わないのが、唯一の気遣いなのだが 舌がバカな母にはそんな私たちの気の使いようなど 全く通じない 母と時間を過ごすのは時間の無駄だ…

速水の毎日

「ちぐはぐな自分?」 なんだか、勉強を始めてから言葉も変わった もともと、高校受験は超難関志望だったから 中学までの知識は完璧に入っていて 簡単な会話なら英語だって喋れたタケオだ バカではない バカなほうが客が付きやすいからバカなふりをしていた…

発達障害の母

母は弟を嬉しそうに見ながら言葉を待つ 弟は深い意味もなく 「あ~おいしかった!」 それを嬉しそうに聞いて、私が他の食事時に これ、美味しくないとでもいうようにあまり食べないと 弟はよく食べるから美味しいのだとしゃべり始める 私は父と似ているとこ…

速水の毎日

速水にはミキのそんな思いもわかっていたから 今は何もすることも、何も心を揺さぶることがなくても このまま時を過ごそう そんなふうに毎日を過ごしている時に 急にタケオから連絡が入った 会いたいと言う もちろん、速水は会いたい その理由が故意でないの…

発達障害の母

私が中学の時の、朝のちぐはぐな会話 私は母の作る食事に興味はない 父もあきらめている 母はべちゃべちゃに炊きあがった白いご飯を自慢そうに出し ひとしきり、ソーセージとにらを卵で炒めた話をし 味噌汁は辛くて出汁に乾燥シイタケが入っているが 足もと…

速水の毎日

ミキは幸せだった 三人の生活 速水が仕事を辞めて帰って来た理由が恋であることはわかった そして、その恋は実らなかったのもわかった 三人の生活、家族だけの生活 それはミキが中学のころからあこがれていた生活だ お金は日々の生活に困らない程度はあって …

発達障害の母

つもりに積もったこの思いを消化することはできない もちろん、今の世の中発達障害であっても それに応じて職を選んだり そのことを加味して育ててくれる両親もいるだろう 恋愛だってすればいい でも、子供産むのならばその後ろにしっかりした 後ろ盾になれ…

速水の毎日

庭の手入れをしながら 祖母を思ってみたりする 愛人の家・・・・それが世間での認識かもしれない でも、そこにはこうして親子で大事にしようと思う風情がある 妻のいる人に一生をささげた父方の祖母 死ぬ寸前まで男から男に流れ歩いた母方の祖母 そして、そ…

発達障害の母

私が子供のころよりも中学、高校のころのほうが そんな美しい言葉を毎日ちりばめて話していた 毎日明るく元気に過ごしましょう 勉強よりも心が大事だからね 父も私も朝からテンションの高い母からそんなことを言われるだけでも イライラした もちろん、それ…

速水の毎日

何もすることのない毎日 それが続くと、速水はだんだんそれも悪くないと 静かに暮らすことの楽しさを覚えた 母が丹精している庭 その庭は父の母親が自分の趣味で 丁寧に作り上げた庭で 本当に風情のある優しいものだった 母は結婚してここで暮らすことになっ…

発達障害の母

母はドラマで言葉を覚える 家族は信頼しなければいけない 心を込めて人には接しなければいけない お互い本当の気持ちを言い合って、心を開かなければいけない そんな綺麗な言葉をたくさん覚えているが 実際にそれがどういう風なことかわからず ただただ、家…