速水の毎日
速水にはミキのそんな思いもわかっていたから
今は何もすることも、何も心を揺さぶることがなくても
このまま時を過ごそう
そんなふうに毎日を過ごしている時に
急にタケオから連絡が入った
会いたいと言う
もちろん、速水は会いたい
その理由が故意でないのは確かでも
心の奥底でタケオに会いたいと思っていた
久しぶりに会ったタケオは別れた時とは雰囲気が変わっていた
なんだか男娼時代に戻ったようなにおいがした
黒いシャツに赤いネクタイ
速水が好きだった頃の、男娼にしては素人っぽい顔
でも、それは夜の顔、あの頃の顔だ
「何かあったの?」
速水は好きだと言う気持ちは出せないから冷たく
また、何かにお金がいるのかとと思っている顔をする
「あ、お金じゃないんだ
なんかちぐはぐな自分を持て余してるんだ」