2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

刷り込み

こうやって、ある程度生きてくるとどうでもいいことだ何かに文句を言ったり何かに反発したりそんなことが必要な時代もあったのだろうけれどそんなことはしない方がいい法律さえ守ればいいのだいや、今のキナは法律だって守っていないのだが貞丸を抱きしめな…

刷り込み

あの頃は泣き叫ぶ母親をかわいそうだと父を恨んだが今、思えばあれはあれで、面白いことだだいたい、母親は見栄っ張りで頭の悪い女だった父が美人の秘書、それも無一文になってもついてきてくれるそんな美人の若い秘書を手に入れたことってすごいと思うあの…

刷り込み

キナが子供の頃いた、私立の小学校にこの手のおばさんもちらほらいたあの頃、真っすぐな生き方を聖書とともに習ったのにいつからこうなったんだっけ?裕福な家庭優しい両親学校では奉仕の精神を習いようするに、お金持ちの家に生まれたのだから、多くの人に…

刷り込み

貞丸は唐揚げ棒を食べ終わったキナに飛びついた「今回も何もしなくてよかったんだね良かった!」キナは変な話だと笑った微妙なラインの若い男を狙うそいつは小金を持っている明日、振り込まさせるのも300万頭は少し悪い程度でも、田舎から出てきて真面目本当…

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万年床に寝転ぶと「あぁ、腹減った!なんかあったっけかなぁ」動かないまま天井を見つめたすると、ノックの音鍵を開ける音「キナ!どうだった?」さっきの若い男と同じくらいの年齢でも、ものすごく馬鹿そうだし見た目ももさい背が高いのと痩せているのが取…

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おばさんは、その彼の優しい笑顔を見て、心の中で『かかった!』そう叫んだカルティエの時計ブランドの服レンタルのバッグそして、何より芸術品のような靴タクシーで、乗りつけるから歩く必要はない自分の小さなアパートの前でタクシーを降りると靴を脱いで…

刷り込み

若い男は心が痛んだこのおばさんは、優しいしとても感じがいいお客の中にはあからさまに自分をお金で買いたいと言うおばさんもいるそれはそれで割り切ればいいのだがメイクの仕方、シワの寄り方体の太り方うんざりするほど変な人もたくさんいるそれからした…

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若い男は無邪気な笑顔を顔に張り付けたまま頭の中で計算をしたこのおばさんは自分にお金を出してくれるだろうか?きっと出してくれる『会いたい』と言えば断られないしいつだって仕事の話をすると援助したいわ!!とは口で言ってくれるしかし、まだ、二人は…

刷り込み

他のテーブルからこの二人を見ている人間たちはお金持ちのおばさんが若い子にうつつを抜かして可愛がっている若い男はこのおばさんを糧に自分の生きている業界でのし上がっていきたいと思ってる少し世の中の常識に通じている人間はそう見るそんな目を全部意…

刷り込み

正義の味方悪い奴しか狙わない弱いものは相手にしない金持ちから取る小説や映画、ドラマならそうだろうでも、人を騙して生きて行こうって人間がそんなかっこいいこと思うはずはない反対に言わせてもらうならば悪い奴だって、婆さんを助けたりホームで転んだ…

刷り込み

目の前の青年は私よりも15は年下だ彼はその細い背の高い体を持て余すようにカフェの椅子に座り無邪気に笑いながら友達と大阪に遊びに行った時の話をしている完璧な東京のおしゃれな若者だでも実はその落ち着かない足元はドクターマーチンではあっても少し、…

刷り込み

細い道を駆けていけばあの子供の頃に戻れるこんなことばかりをしてお金を稼いできたけれど今からならば、あの日に戻れるあと、一人騙したらあの日に帰ろうずっと、そう思い続けて私は生きてきたでも、もう帰れない私は結局小汚くてずるくて、人が幸せだと言…

風邪をこじらせて

私は首を振ったそんな勇気はない私の母はひ孫の存在を喜んで「あんなに幸せそうなんだからあなたを恨んでるなんてことはないと思うのよ、もう、いいんじゃないかしらね」そう言うが私は今になって分かる母親として、中学生とはいえ何か考えるべきだったんじ…

風邪をこじらせて

「きみには完全にフラれたって思ってたからな あの日からのショックは大きかったけど 子供がいるって、なんかうれしいよ」 「私はフッた覚えはないけれど まぁ、中学のあの頃のことだったから どうしたらいいのか何かわからなかったものね 子供だけじゃなく…

風邪をこじらせて

「もしかしたら、それは、 僕の子供を産んだんじゃないか そう思ったんだけど、違ってる?」 もう、何十年前のことだろう 確かに大人になって気が付くようなことだ 「そう、東京の病院に行って産んだのよ」 「やはりそうかそれで、その子はどうなったの?」 …

風邪をこじらせて

彼が懐かしそうに近づいてきた 「久しぶりだね 皆が誰だったかって騒いでいるから 君のこと話したら ああ、あの事件のって思い出したよ 後で、ちょっと、二人で飲まない? ずっと、話したいことがあったんだ」 私は断る理由もなく その後、彼と小さなバーに…

風邪をこじらせて

私はそんなことがあったから 長い間、中学の同窓会には出なかった その年は、中学のあの時があったから あのカレー屋の素敵な幸せそうな家族が出来た あの一日の夜があったから あの可愛い男の子が、この世に生まれた そう思うと、友人もいなかった中学時代…

風邪をこじらせて

私は驚いた 彼女を育ててくれた両親は私に感謝してくれた 「今はお店がうまくいってるからいいけれど 高校を卒業するときに大学に行かないで 料理の専門学校に行くって言った時は とても驚いたのよ それで、お父様にこっそり相談したくらい」 すると、父親の…

風邪をこじらせて

「そのお金でね、渋谷のほうにカレーのお店を出している って聞いてるわよ 私とパパは一度食べに行ったんだけど、本当に美味しくて きっと、うまくいくって思ってたの 案の定、今ではスマホの食べログでも星が4っつ 一度行ってあげるといいわ 私に撮ったはひ…

風邪をこじらせて

「私たちにとっては初孫だからね 何とかうまい方法をって パパが奔走してね」 そうだったのかと父に感謝した あの時に、もっと、早く打ち明けていれば 子供は処分できたのかもしれないが どこかで幸せに生きてこれたのならば やはり、あれでよかったのだ 「…

風邪をこじらせて

それから、雅人が留学するまでの長い年月 夫がどんな人間であるかわかり でも、それにまっすぐに怒れない自分がいる 私には別にどこかで育っている子供がいる それも中学の時にできた子供で 夫はそんなことは知らないままだ それを考えると、卑怯で男好きで …

風邪をこじらせて

私は戸田君に恋をしていたわけでも 愛していたわけでもなかったから その人とは真剣に愛し合った それでも、結婚には至らなかった 父が反対したからだ 反対の理由は彼が大学に奨学金で来ていたから 私はそれは素晴らしいことではないか お金はないが勉強した…

風邪をこじらせて

私はその後、子供のことを考えることはなかった ひどい人間だ でも、それがわかったのは雅人が生まれてからで それまでは父が何とかしてくれたから 私の考えることではない それに、父と母も風邪をこじらせたくらいなこと と私に植え付けたかったようだ それ…

風邪をこじらせて

それから10か月後 私は子供を産んだのだが 7か月ぐらいに、母と父に気が付かれたぐらいで 学校は誰も気が付かなかった 少し太った程度で 友達もいない地味な私の変化など、みんな興味なかったのだ 私は東京の産婦人科に父に連れられて子供を産み 父がその子…

風邪をこじらせて

次の日の朝、一番に体育があるクラスの生徒が そのドアを開けるまで 私たちはずっと、一緒にいて、寒いどころではなかったし 初めてのことにお互い夢中だった その噂はすぐに広まったが 教師も何かあったとは思わなかったようだ 戸田君は健全で爽やかな人間…

風邪をこじらせて

いくら待っても人は来ない しばらくすると、戸田君は大声で助けを呼んだが それでも来ない それはそうだ、体育倉庫は校舎から一番離れたグランドの隅だ そのうち雨が降って来て 五月の中旬だと言うのに、寒くなった 私がマットの隅で震えて座っていると 戸田…

風邪をこじらせて

安住の彼氏! 戸田敬だった 「きっと、鍵をかけられたんだな くっそ~何考えてるんだよ ほんのいたずらなんだろうけど 今、バスケの試合前だから、 こんなことで時間潰したくないんだよな」 そう言って、悔しそうにマットの上に胡坐をかいた 私は同じクラス…

風邪をこじらせて

中学の時の私は、あまりしゃべらないし、 友達も二人くらいしかいない、目立たない子供だった その私を、クラスで一番派手で医者の娘で誰よりもかわいい 安住という女の子が嫌うことになる 安住が私を嫌いになったのか? それはもっと、ずっと後に知ることに…

風邪をこじらせて

私はその子に惹かれるように、店に入った 多分、カウンターからその様子を見ていたのだろう 母親であるだろう、制服を着た30過ぎくらいの彼女が 「すみません! 恭太、今ぶつかったでしょう? ちゃんと謝った?」 私はあわてて 「あ、坊やは謝ってくれたんで…

風邪をこじらせて

彼女は私と夫の間に愛がないことを知っているし 一緒に住んでいても、話もめったにしないような 一緒に笑うこともないような関係だと知っている だから、私と仲良くして離婚してもらおうと思っている そのために、私とおしゃべりしたいと呼びつけたり ランチ…