風邪をこじらせて

次の日の朝、一番に体育があるクラスの生徒が

そのドアを開けるまで

私たちはずっと、一緒にいて、寒いどころではなかったし

初めてのことにお互い夢中だった

その噂はすぐに広まったが

教師も何かあったとは思わなかったようだ

戸田君は健全で爽やかな人間に見えていたし

私はただただおとなしくて地味な女子

 

それに、学年の誰もが戸田君が安住と付き合っていたのは知っている

教師も知っていたぐらいだから、まさか、この夜

二人の間に何かあったなんてだれも考えなかった

帰って来なかったからと大騒ぎしていた二人の両親も

そのいたずらをした生徒の犯人探しに夢中で

そんなことは考えなかった

 

それに、私と戸田君はその日限り

口を利くこともなかったのだから