風邪をこじらせて
安住の彼氏!
戸田敬だった
「きっと、鍵をかけられたんだな
くっそ~何考えてるんだよ
ほんのいたずらなんだろうけど
今、バスケの試合前だから、
こんなことで時間潰したくないんだよな」
そう言って、悔しそうにマットの上に胡坐をかいた
私は同じクラスでも、彼とは口もきいたことがない
安住の彼で、学年で一番のイケメン
人気者で私とは別世界の人だ
安住が彼氏にしたがるような人だ
「早く帰らなきゃならない用事とかないの?」
私のことを知ってるの?
そう聞きたかったが
ただ、首を振った
今なら、戸田君が私に飛びついてきた気持ちはわかる
中学三年生の男子だ、女子と二人で
ぼんやりした暗闇の倉庫に入れられれば
ムラムラくるのは健全だ
それに、安住と付き合っているといっても
可愛いもので
休日に映画を見るとかそんな程度
学校でみんなに付き合ってると認識してもらえば
十分幸せな年ごろなのだ