2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

長い恋の果て

保奈美はすっかり、みぃの会社の仕事に夢中になり 理子の幸せを心から願い 理子はショウがすべてを受け入れてくれて 姉がショウの母親と叔母のおかげで すっかり何かにとりつかれたような悪意から抜け出し まるで別人のように理子を迎えてくれて 幸せな毎日…

おばさんであること

美也がなんだか言い渋っていると 明美が 「いいのよ、気を使ってくれなくても 美也さんのとこの大輔君は優しいんでしょう? やっぱり、違うのは旦那よ だって、美也さんの旦那って 幼稚舎からずっと、慶応でしょう? なんだか、お坊ちゃまで優しそうなんだも…

おばさんであること

三人が知り合ったのはそんな経緯だった 同じ専業主婦だが、ママ友とは全く違う関係に 三人とも新鮮な楽しみがあった 何度かランチしたりお茶をしたりして 気心も知れてくると お互いの関係の間に子供が介在していないから 遠慮なく話ができる 子供のママ友だ…

おばさんであること

「私はすごく楽しみにしてたんだから チケットさえ買ってくれればいいわ こんなに至れり尽くせりされたんじゃ 帰って気の毒すぎるわ」 明美がそう言う 満里奈は平身低頭でそれまで相手の本来の姿が見えなかった 落ち着いてよく見ると 年頃は自分と同じくらい…

小さな願い

理子は姉の嘆願もあって不起訴となり 結局、すぐに帰って来れた そして、その足でショウとイタリアに旅立った 保奈美は二人を気持ちよく見送り みぃのところでの仕事を楽しくやっている ミキが驚いたのは二人の両親の話だった みぃは 「お姉ちゃん、うちはな…

おばさんであること

慌てて入って来た満里奈の手には 今買ったばかりのコーヒー そして、その席がちょうど二人の横で 見栄で履いているハイヒールが暗闇の中 絨毯に躓いてしまった 「あ・・・」 幸いなことに、アイスコーヒーだったが 二人の頭から思いっきりかかってしまった …

小さな願い

みぃは今度は引いて、優しく話した 「退院したら、うちで働かない? ちょっとした文を書く仕事は山ほどあるし それなりのお給料はだすから 本当のライターの仕事しなよ」 それは保奈美がずっと願っていたことだった 好きで恐喝まがいのことをしているわけじ…

おばさんであること

美也はママ友にドタキャンされ、 それでも、もう、チケットは買ったから 仕方なしに席に着いた 最初から断ればよかった でも、美也はそうは思うが、実はそれはできない性格で だいたい他人に合わせて生きている 自分でも性分だから仕方ないとあきらめてもい…

小さな願い

「あなたって、バカなの? 人のことがどうしてそんなに気になるの? しっかりしなさい! あなたの生まれた環境が決して良くなかったのは 理解しているわ!!! でも、その矛先は妹に向けることじゃないでしょう? 恨むならば、親じゃないの? どうして自分の…

おばさんであること

夫とは絶対に行かない邦画 そして、特に不倫物などには目もくれない それが満里奈のスタンスではあるが その映画の男優が気になっていて もちろん、そんなことはおくびにも出さないのだが 実は不倫にも大いに興味ある それで、誰にも内緒でその映画を見に行…

小さな願い

みぃはずっと、正二を忘れていない でも、愛し合ったことはないのだ いつだって、片思い 正二が死んでショウが生まれて 今でも、忘れない正二のこと ここれは報われないまま終わったからこそ ずっと、こうやって想い続けているのかもしれない 思いのほか早く…

おばさんであること

明美は今の徹の手に負えない状態に頭を悩ませながら あの時、小学校受験をしていればよかった このままでは公立の中学に進むしかない状態だった 満里奈、明美、美也 全く接点のない三人ではあるが年齢はほとんど一緒 満里奈は夫はいるがその夫はアメリカに単…

小さな願い

ショウにそのことをぶつけて見る ショウは少し考えると 「ママの心配はわかるよ でも、そうしなければならないほど 追い詰められていたのならば これから先、そんなことにならないように 僕が守る!」 みぃは惚れ惚れと息子のショウに見惚れた 自分は人に誇…

おばさんであること

徹が小学校に上がる前に夫の海外勤務も終わって日本に帰ってきた小学校受験は考えたのだが大学まで全て公立だった夫は何も高いお金を払って小学校から私立にやらなくても中学受験を頑張らせればそこから私立でいいんじゃないかそう、言ってあっさり無しにな…

小さな願い

ショウに理子の話をすると 振られたんじゃなかったと 喜び勇んで帰ってきました ただ、みぃの心配は一つです 理子とショウがうまくいったとしても 姉がどんなにひどい人であったとしても 刃物で刺すっていうのは ありなのだろうか? これまでみぃは小さな頃…

おばさんであること

息子の徹がまるで言うことを聞かない 夫はお前のせいだと言う そうなんだろう 専業主婦で息子を育てること以外には 何か忙しいようなことはない 徹は一人っ子だ 夫はもう一人、女の子が欲しいと言ったが 明美は子供は徹一人で十分だと思っていたから 子供は…

小さな願い

でも、それが何だと言うのだろう 三人が小さいころはそれぞれ力を合わせて こうして大人になってからも お互いの幸せを喜べる あの母は世間の一般常識からはどうしようもない 母であったが 見栄を気にしたり、相手を傷つけたりすることはしなかった それ以上…

おばさんであること

美也は今は子供の中学受験がすべてだった 朝6時に子供を起こして、計算と漢字の練習をさせる 自分は5時には起きて ポテトサラダや唐揚げ、夫用のヘルシーなサラダに 焼き魚、そして三人の子供たちのお弁当 冷凍食品なんかもってのほかで 揚げ物も空いた時間…

小さな願い

「どういう人たちなの? 理子のこと、そんなに心配してるの?」 保奈美は不思議な顔をすると同時に 全くの他人に、こんなに心配される理子に対する 嫉妬もむき出しにした 普通の家に生まれて こんなに心がゆがむなんて 人は不思議なものだ ミキたちの実家は…

おばさんであること

この世のすべてが家の中にあり 中心は家族のことだけ 濃い知り合いは子供のママ、いわゆるママ友 学生時代の友人もほとんどママになり ママ友というスタンスは変わらない そうじゃない、昔の友人は 社会での立場が違ってきていて、話をしていても面白くない …

小さな願い

「それをあなたが助けるのよ!」 ミキが言うと保奈美は不思議な顔で 「なぜ?」 ミキは長いこと母が嫌いで、自分の家が普通でないことを 恨んでいた しかし、理子の姉との関係 この、姉がこんなことになったのは その父と母のせいだ それを考えると、母は男…

発達障害の母

母は祖母がそんなこともわからなかったとは 思いたくなかったのだろう 母が祖母に持っていた嫌悪感は 祖母を自分と同じか自分より上に置いておきたかった だから腹が立つし、嫌いになる 僕が今、祖母と話していると 母に嫌われた日々をたのしそうにしゃべる…

発達障害の母

僕は祖母を知っている 確かに普通よりかは知能はかなり低い でも、あの能力しかないのに母を育てたことを思うと ものすごく頑張ったんではなかろうか? そして、祖母の知識の低さから考えて 幼児に対する性的虐待がこの世にあることを 知ってはいなかっただ…

小さな願い

保奈美は驚いたようにミキを見た みぃがまっすぐ保奈美を見ながら 「何が気に入らないの? 理子ちゃん、いい子じゃない」 この二人が知り合って間もないことや 理子の彼氏の親と叔母だとか そんなことはすべて忘れて保奈美は叫んだ 本当言うと、子供のころに…

小さな願い

みぃは笑いながら 「まだ、驚くのは早いわ だって、ショウと理子ちゃんがこれからどうなるかは わからないからね あなたがうちをゆするようなことをしただけで ショウと別れる覚悟をした理子ちゃんの気持ちを考えると あまりに可愛そうだわ ショウは今のとこ…

発達障害の母

祖母も苦労したことであろう ちょうど、時代的に若い者のすることには 口に出さないのが、いい姑だと思われ始めた時代 近くに親族で住んでいるが お互い一戸建てで離れ 祖父はその頃の多くの男と同じように 子育ては女の仕事だと手を出さない 発達障害だった…

小さな願い

「理子ちゃんには 私が弁護士をつけようかと思ってるの」 保奈美は驚いたように 「ご立派なことね それで、妹を嫁として受け入れる ってことかしら? すごいわね でも、私がもれなくついてくるわよ」 ミキはなんだか、この姉が可哀想になった みぃを見ながら …

発達障害の母

祖父が祖母に嫌気がさすのは時間の問題だったしかし、その頃のことだ離婚なんてそう、簡単にはできることではないそれに、父親と義母に勧められた義理の妹との結婚を蹴った経緯もある新築の家すら建ててもらっているそれから5年間2人の間には子供もできずに…

小さな願い

2人は保奈美が入院しているという 病院を訪ねた 個室に入っていくと 2人を見て 保奈美は笑い出した 「何?見舞金でも持ってきたの? 理子にどこを刺されたか聞きたいの? 理子はこんな姉がいたんじゃ 結婚なんかできない!って叫んでいたんだけど 犯罪者になっ…

発達障害の母

誰もが一緒に仕事をすればすぐに、ちょっと、頭が足りないことはわかるこの結婚を進めてきた親族はがっかりを通り越して、うんざりしていた今の世の中のようにパワハラだのモラハラだのをあげつらう時代ではないもはや、ハラスメントが日常の時代だ祖母はこ…