2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

小さな願い

家族っていうのは困ったものだ 理子だって姉さえいなければ 幸せな本当に、中流家庭のお嬢さんですんだだろうに 自分の家も、あの母さえいなかったら 貧しいながらも楽しい家だった気がする しかし、あの母がいたからこそ 康太は弁護士となり、みぃは資産家 …

発達障害の母

祖母の実家の父親が、その頃でいう所の 『やり手』であるらしいと言うのを聞いて だれもが、祖母に期待をした でも、喜んだのは義母だけであった だいたい、美形ぞろいの祖父の家系では まず、祖母の容姿が親族の不興を買い そして、親族が近くに住んでいる…

小さな願い

ミキはあの普通のお嬢さんであるしか能がなさそうにしか 見えなかった理子を思った 彼女の今までの人生の中の姉の存在 彼女の様子からは 姉がいるにしても お互い服を交換したり、彼氏の話をしあったり そんな仲の良い姉がいるようにしか見えなかった そう見…

発達障害の母

人の口の煩いばかりの村 ちょっと隣の隣くらいならば 嫁さんに困っていた時代だから十分噂は流れまわっている どこそこの娘は賢くて別嬪らしい あそこの娘は戦時中は腹んでいたが、その子は死産だったらしい あの家はどうやらお金に困っているらしい そんな…

小さな願い

母親は言うことを聞かず 理子にちょっかいを出す姉を嫌い 父親は厄介者としか思わない そうなると、理子は自分を責めた できるだけ姉に優しくと 遠く離れて暮らしている間も 手紙を出したり、プレゼントを贈ったり できるだけ寄り添えるよう頑張った 中学受…

発達障害の母

その上に、周りの余っている土地に 次男が結婚すると言うので新築の家まで建てたのだ それには少し事情もある 祖父の父には後妻が来ていて その後妻の長女が年頃で、祖父とはちょうどよく 後妻の気持ちとしては娘が次男の嫁になって この家にうまく取り入り…

小さな願い

ミキはその事件の詳細を知って驚いた 普通になろうと一生懸命頑張っていたのは 理子のほうだった 理子の家は四人家族 はた目には姉が大学を出た後、ルポライターをやっていて 仲のいい家族としか見えなかったらしいが 姉とは理子は父親違いで 姉は何かと問題…

発達障害の母

祖父の家はその頃で言う分限者ってところで その辺りの村では、羽振りがいいので有名だった 村ではたいがい、一階の藁ぶき屋根に部屋が四つの そう、狭くもないが村では一般的な家屋に 祖父母と親二人、子供は4人くらい、そして 祖父母の子供が多かった家で…

小さな願い

それは、都内の住宅地で 姉妹が姉妹げんかの末、妹が姉を刺したと言うものだった みぃは 「その事件があった、その家! 理子ちゃんの家なの! 今、警視庁の知り合いに問い合わせて ちゃんと聞いてもらってるんだけど 多分、間違いないわ!」 「え?理子ちゃ…

発達障害の母

戦争が終わってすぐの時代だ 女が男に面と向かって好きだなんて言う時代ではない それを祖母は平気でやってのけ 祖父はころりと参ってしまった 母は中学の時に父親に 「なぜ、お母さんと結婚したの? 別れればいいのに!」 そう直接言ったそうだが、祖父にし…

小さな願い

しばらく正二の話で盛り上がった後 これがゆすりに使えない以上 その理子ちゃんの姉、高坂保奈美はどうしたんだろう 「彼女は当てが外れたように帰って行ったわ そこは痛快だったんだけど それから数日後に理子ちゃんからショウが 別れを切り出されて、それ…

発達障害の母

恋愛の細やかな恥ずかしさが全くないのだから 免疫のない祖父は面食らったが 直接、目の前にやって来て大好きだ!一緒にいたい! 何処にいても、祖母は祖父を見つけると飛んできて側にいる そして、祖母は綿密に自分の容姿を整えた まず、ご飯を食べない そ…

小さな願い

ミキとみぃの間では正二の話はタブーだった それは正二がその短い生涯ただ一人愛したのはミキで そのミキに託されたからこそ みぃの教育にすべてをささげ、全財産をみぃに残したのだ でも、ミキは思う あの誠実で頭のいい正二がみぃと関係を持った以上 それ…

発達障害の母

それからが祖母の面目躍如だ 祖母の男好きは母の悩みの種だったらしいが 祖母は結婚だけは姉妹の誰にも負けないって 心に決めていた 母の話の中に、祖母はあの時代に恋愛結婚で結ばれたのが 自慢だったらしいが それ以外に結婚する方法はなかったようだ 一つ…

発達障害の母

その結婚話が祖母と癲癇持ちのすぐ下の妹には 全く来なかった 田舎の農家ばかりの村だ 祖母のすぐ上の姉である養女に行った子のように 賢ければ教員の家、農協の偉いさんの家 ちょっと、村から離れた町の公務員の家 娘たちが嫁に行くあてはたくさんあるのだ…

小さな願い

「理子ちゃんのお姉さん、その写真を ネタに私をゆすりに来たのよ 笑っちゃうわ ショウの父親は対外的には 売れない小説家で、学生のまま 病気で死んだ事になっているけど この男なんじゃないかって! この男は風俗界では伝説の男で メフィストと呼ばれてい…

小さな願い

「正二さん!」 あの思い出したくない時代の中で 唯一、優しい思い出 彼に出会えたおかげで みぃは学歴がなくても 幼児の頃から風俗の世界に どっぷり浸かり 学歴がなくても、 その卓越した能力を身につける 事が出来たのだ 「写真があったのね」 みぃは頷い…

発達障害の母

祖母はそんな父親の意図をぼんやりとわかってはいたが あまりわかりたくもないことなので 心の隅に追いやっていた 高校を卒業すると、高校と言っても祖母の通っていた女学校は 今でいう洋裁専門学校で数学や英語の授業はなかったが そこで、自分が計算や本を…

発達障害の母

戦争も終わって、それぞれが仕事をしたりし始めるのだが 祖母と祖母の下の妹は仕事に就くことはなかった 祖母の下の妹は癲癇持ちで、よく突然倒れた 祖母の父は家の手伝いを二人にさせながら 祖母を子の妹の見張り役にした 何処に行くのも二人で一緒で、妹に…

小さな願い

「私が中学の頃から持ってるパソコン どうしても、このパソコンで見たい 写真があって このパソコンの中に保存するってことを 初めて教えてもらったやつなの」 そう言ってみぃは一枚の写真を出した それは女子高生の格好をした 中学生のみぃ みぃは小中高と…

発達障害の母

中でも祖母の胸はときめいた 私かもしれない、何度もそう考えた 実際はその叔母の好みから言えば 次女が最有力だったし、祖母のすぐ下の妹は 姉妹の中でも一番美人だったり 一番下の妹は、やたら計算が早くできて有名だった 祖母が選ばれる確率は、誰が見て…

小さな願い

「え?お姉さんが来たの?」 結婚してからならばともかく その姉がここに来るってことも不思議な気がした 「そう、理子ちゃんとは父親違いのお姉さんで 早くから家を出ていたみたい 理子ちゃんは、そんなお姉さんに気を使ってたみたいで 良く会うのは会って…

発達障害の母

この伯母がこの子供たちの中の 誰か一人を引き取って、学校にやりましょう そう言ってきたとき 祖母の父は大喜びだった 戦争に必要な男子は長男だけだ この子だくさんなのに、後はすべて女の子だなんて ふざけている!祖母の父にしてみれば すべて、妻のせい…

小さな願い

「みぃ、あなた何か仕掛けたんじゃないでしょうね? 気持ちはわかるけれど、こういうことは 母親が何かしたってわかったら、 ショウ君に嫌われるわよ下手したら 親子関係が破断するようなことよ!」 ミキにしてみればタケオの母のことを 速水に何かと言いた…

発達障害の母

それでも、村長の家だ 村では高校に進学する家はまだ珍しいころ 一番上の長男は戦争に行き 長女は中学を出てすぐに嫁にやられ 出来のいい次女で、祖母とは年子の姉は 祖母の父の妹で、高校の教師をしていた叔母が引き取って行った 祖母にとってはそれは、耐…

小さな願い

ショウはちょっと困ったように 俯いていた タケオが横から 「あ、あの彼女、別れたんだよね 性格の不一致ってやつ? 彼女の方から振られたんだから しょうがないよ お義母さん、ショウのこと慰めてあげてよ ほら、速水も大好きな お義母さんの筑前煮、作って…

発達障害の母

もちろん、その頃発達障害なんて認識は誰にもないからよくできる子は目立つが目立ってできの悪い子は誰もが健康で人に迷惑をかけなければ意に介しもしない祖母は自分なりに自分のばかなことがわからないよう装うことを学んだ足し算から先がちっともわからな…

みぃの誤算

お金があればなんでもできる みぃはいつだってそれを体感させてくれた 今までもそうだ、 お金にヒィヒィ言いながら 康太と暮らしていたあの時代 そんな時代があったからこそ ミキはお金じゃないって思いたかったが ショウの教育だって 今の輝くようなみぃの…

発達障害の母

戦時中のことだから学校の成績など誰も気にしない彼女が中学に行く頃にも実は足し算がやっとくらいだったが誰も、そんなことには気がつかなかった姉に負けない!それが彼女の最大の生きて行く目的だった負けるも何も最初から勝負にはならないのだが彼女の中…