小さな願い
ミキはあの普通のお嬢さんであるしか能がなさそうにしか
見えなかった理子を思った
彼女の今までの人生の中の姉の存在
彼女の様子からは
姉がいるにしても
お互い服を交換したり、彼氏の話をしあったり
そんな仲の良い姉がいるようにしか見えなかった
そう見せていた彼女の苦しみは
こちらからは計り知れないほどの感情の押さえだったのだろう
今回、姉を刺すほどの思い
それはミキにはわからなかった
母ならば殺してしまいたいほどの思いにかられたが
ありがたいことに
母はいつも男を追いかけていて
ミキの目の前にいる時間はほとんどなかった
兄妹はそんな母の元、仲が良かった
康太とは自分の人生であるようにかかわったし
みぃは正二に託すことが
ミキの精いっぱいの気持ちだった
そして、今もお互いを思いやり
不遇だった時代を笑い話にできる