2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

発達障害の母

小学校の頃が鮮やかに蘇った私は今と同じように彼女をバカにしていた頭が悪かったから本が全く読めない彼女に教師が国語の教科書を読ませてもつっかえて読めないからすぐに朗読のうまかった私が代わりに読まされたものだったもちろん、バカにしているなんて…

誰が見たって 真面目な普通の高校生にしか見えない ミキはさっきの電話は何かの 間違いではないかと思う だいたい、男の子の方が 悪いに決まっている 速水に関しては親バカになってしまう sexに関してはプロ中のプロだし そういう女がいることは 一番、ミキ…

発達障害の母

それが今日は珍しく来たばかりらしく 私が入っていくと、こっちを向いた 白髪交じりの汚い髪の毛を黒いゴムで縛り 今まで泣いていたかのように顔は濡れていて それもしみだらけのすっぴん 腹は出ている小太りで、ジャージの上下を着ている 足は一時期はやっ…

「それに、それが悪いことだと思うのはやめよう そういう特性なんだよ それは数学が得意だとか 国語が得意だとか 本を読むのが好きだとか 絵をかくのが好きだとか それと同じだよ」 それは言われなくてもわかっている だって、そういう母を持ち 妹を持ってい…

発達障害の母

コーヒーは美味しかった 県庁のある街でサラリーマンをしていたが コーヒー好きが高じて、どうしても店を出したくなったマスターが 古民家をただ同然に買い取って、趣味で始めたのだ 私よりも10歳は若い、サラリーマン時代は仕事ができたであろうが 今は田…

沢村は茫然と立っているミキをソファに座らせた 沢村は速水を目の中に入れても痛くないほど かわいがっていたが、そこに怒りや悲しみはなさそうだった ミキははっと気が付くと 「ごめんなさい、私のせいだわ ちっとも気が付かなかったし 速水がそんなことに…

発達障害の母

そんな高尚な場所から 今の母のところに来たのだから かなりのストレスで、一日に一時間くらいは 毎日、田舎にある喫茶店にコーヒーを行く習慣ができた 母はコーヒーの匂いも嫌いだから 一時間、コーヒーを飲みに出るのは 唯一の私が自由になる時間だった 東…

速水が普通の高校生活をしていると 信じて疑わなかった、ミキにとって それは衝撃の電話だった それは同じ高校に通っている男の子の母親だった 「うちの子が悪いんじゃないんですよ なんですか、誰にでもっていうじゃないですか 休み時間に誰とでもなんて う…

発達障害の母

できるだけ母に寄り添い 一緒に静かに世を送る そう思って帰ってきたのだ 主人の義母との最後の日々はそんな感じだった 義母の横で暮らしているだけで それまでの人生のつらさや幸せだったことが もう、遠い出来事として流れていて そこから人生がなんである…

普通の家の子で普通の家族に囲まれて 普通の女子高生ならば、どんなに楽か・・・ 速水は授業が始まると、慌てて自分の体を振り捨てて クラスに戻る男の子にがっかりして 制服を元に戻して、そっと、あたりを見回して 男子トイレから出て行った わかっている …

発達障害の母

母は私に合わせて いい人を演じるためにその犬に遠くから かわいいわねぇなんて言って手を振る 犬は正直だし、嫌いな人はよくわかる 母のほうを見て、しっぽを振るのをやめて う~と歯をむき出す ああ、母の人付き合いはこんな感じだ 普通の人のように愛想よ…

いったいいつ使っているの? しばらく悩んで、少し落ち着くと 自分の生い立ちゆえにこんな具体的な 想像をするのだと気が付いた もしかしたら、ただただ、好奇心だけで 買ったのかもしれないし、 いや、箱にも入っていないんだから 友人にいたずらされて鞄に…

ネットを検索しまくり 普通なのかとも思ったが やはり、普段の速水からはどうしても 想像がつかない 誰か、好きな子がいるようでもないし いや、できるだけ余計なことを言わないようにしているから もしかしたらいるのだろうか? いや、いるのだろう 休みの…

発達障害の母

犬や猫に対しては敵意しか持てないようで 結婚して母とはめったに会わない生活をして 家庭を持った私の家は家族の一員として犬や猫を飼っていたのだが それが、遠く離れて暮らしていても気に入らないらしく うちの話を弟とするときには必ず 「あんな物を飼っ…

え? どうしてここにこんなものが? すぐには速水に結びつかないほど 考えが止まってしまった どうして? もう、ずっと、昔の仕事がよみがえった それは、確か、初めて使ったのは今の速水と同じ年だった はじめはそこの、おっさんにつけ方を習って 一生懸命…

発達障害の母

最近では空気が読めることを 実はそんなにいいことではない そんな風に言うようだが 本当に空気が読めない人の困るところは 道徳的に間違っていることを 平気で言ったりするところだし 誰かが傷つくことを気にもせずに ずけずけとみんなの前で言うようなこと…

発達障害の母

子供もそんな風に男好きであれば 何の問題もないだろう 母はその時、その話を嬉しそうに 家族で夕ご飯を食べているときにしゃべった 子供の前でする話ではないと 父は怒り出したし私も聞きたい話でもないし 好奇心はあったが、家族団らんの時に話すことでは…

速水が高校に入ってから 部屋の掃除をされるのを嫌がるようになった ミキはそれを嬉しく思っていた 中学くらいに反抗期があるかと 覚悟していたのだが そんな気配もなく 家族旅行にも嬉しそうに一緒に行くし 父親を嫌いになると、よく聞く年頃の女の子特有の…

発達障害の母

人のせいにしてはいけない 子供たちにはそう言いながら育ててきた 私は私が今の私であることを 母のせいにはしたくはないし 母のせいではないといいたい ただ、ただ、この母親でなかったら その気持ちはどんなに消そうとしても 心に浮かんでくる 小学校のこ…

自分では気が付かなかったが そうなのかもしれない そして、それが、すごく恥ずかしいことなのは 認識している そして、不思議なのはそれが好きな相手に対してではないことだ 男性ならば誰でもいい そう、本当に誰でもいいのだ 高校になって自分では気を付け…

発達障害の母

子供のころは好き嫌いが多かった でも、家を出て一人で暮らすようになった途端 別に嫌いな食べ物などないことに気が付いた それが、母の料理の下手なせいだと気が付いたのは ついこの間だ 何十年も子供のころは好き嫌いが多くて 大人になって何でも食べられ…

それに、父にも母にも絶対に言えない悩みがある どうも、男の子が好きらしい 中学の頃もそうだった 女の子といるより男の子といるほうが楽しい 席が隣の子と話すとき 自分が立って、肩に手をのせて話す 話している時に必ず、男の子だと 少し触れたくなる 意…

発達障害の母

たぶん、それは発達障害のせいではないだろう 発達障害であったとしても 素直でいい人ならば、家族三人はもっと、母が好きになっただろう 素直なのは確かだ 史跡巡りよりも買い物が好きで、知的なことには興味がない それは口に出さなかったがよくわかって、…

普通の幸せ それを望んでいる母親のミキとは違う 速水は自分には何一つ平均値を超えるものはない もし、それがあるとすれば 大学教授で小説家の父 美しく賢い母親 弁護士の叔父夫婦 大金持ちの叔母 なんだか、いらいらする 母親はそれが一番というが 何もな…

発達障害の母

それで、家族で近くの史跡巡りは 車が来て最初の一年くらいでなくなった その代わり、その頃地方によくあった 少し郊外の大型スーパー 一週間分の買い物を家族でやる 母はそれが大好きで、それに行くことが 日曜日の目的となった 父は買い物には興味がないの…

しかしみぃとは、もう、長いこと会ってはいない 母が老人ホームで死んだ時ですら お葬式が終わってひと月してから知らせてきた 今では正司の残してくれた遺産を元手に 風俗業界ではその人ありの企画のプロだし 株式トレーダーでもある 弁護士になった康太と…

発達障害の母

そんな中、父は軽自動車ではあったが 家族四人が乗れる自家用車を持っていた それに乗って休みの日に家族で出かける ただ、母は時間までに何かを手際よくできはしない だから、母親が化粧が終わるまで 車の中で三人でイライラして待っている 父は母が発達障…

人の幸せとはこんなものか そう考えると 死んだ祖父、父、母を思う 祖父は風俗の周りをうろつく爺さんで 女の子を世話したり、娘を売ったお金で 毎日へらへら暮らしていたが あれはあれで、幸せだったのだろう 父は愚直に母を愛し、母のどんな裏切りも許した…

発達障害の母

高度成長時代の理想的な家庭 年寄りのいない核家族 夫婦二人に子供男女二人 田舎の小さな村で世の中とつながっているのは テレビだけだったから そんな家族を演じたい母の気持ちはわかってはいたが それは、母がいるから無理だとも三人とも 幼い弟ですらわか…

バレンタインの朝 速水に手作りのチョコタルトを クラスのみんなの分をラッピングして持たせた 康太が高校時代にはあんなに成績が気になり 勉強しなければならない問題は 本人が納得するまでコピーして渡したり あの頃は大学に康太が合格することが 二人の夢…