バレンタインの朝
速水に手作りのチョコタルトを
クラスのみんなの分をラッピングして持たせた

康太が高校時代にはあんなに成績が気になり
勉強しなければならない問題は
本人が納得するまでコピーして渡したり
あの頃は大学に康太が合格することが
二人の夢だった

今は娘が勉強なんかしなくても幸せで
少し馬鹿でいい
速水の毎日が幸せなのが一番で
目標なんて持たないことが
本当の幸せなんじゃないかと思う

あの時、沢村の胸に飛び込んで以来
目的なんか何もない毎日で
速水が生まれてからは速水の毎日の幸せと
沢村との時間が過ぎることだけが心を満たしている