2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

マニュアル

章子は何も言えない 何も言えないが雅紀と別れる気は全くない 雅紀は集団生活はやっていけないほど 純粋なのだ 彼の気持ちが美しいこと そう言う人と一緒になりなさい それは小百合が章子に教えたことじゃないか? 何を言ってもどうにもならないだろうと 黙…

逃亡

「巴にはお金に不自由しない、いい生活をさせたい そう考えて小夜子さん所に嫁がせたのに・・・」 「仕方ないさ! シカオも自分の性癖には困っていたからね 誰が悪いわけじゃないんだよ あんたがそんなに心配で、巴さんを絶対責めないんなら うちの旦那を探…

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「そう」 「パパとも話したんだけど、ママには 何も教えないでおこうって 心配して、自分が考えていることが一番だとしか 考えることが出来ないんだもん」 速水は小百合がそう娘に言われるのも仕方がないと思った そして、そのほうが小百合にとって幸せだと…

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私たちは火を入れたとはいえ とても飲む気にはなれなかった 楽しく話をして ゆかりさんが昔と変わりなく話すのを聞きながら 二人ともお茶は飲まずに帰って行った 私も彼女も、お茶の話はしなかった そのことは部落の嫁に行ったこととは関係ない でも、なんと…

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速水は自分の幸せを思った ミキが母親であったからこそ 今の人生がある みぃがいたからこそ、タケオにも会えたのだ 雅紀もみぃの会社でうまくやってほしい そして、章子が教員になって 雅紀を養えばいいのだ ところがみぃが遊びに来た時に 意外なことを聞い…

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しかし、世の中はもう確実にそんな時代ではない 私たち村の若い者たちは、みんなで力を合わせて 色々と協力してあげたし、その部落と呼ばれる若い人たちとも 協力してとても良い結婚式が行われた だからどうという話ではないが その半年後くらいに私とゆかり…

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速水もそうだった タケオと結婚してからも 自分は他の男を追い求めるのだろうか そう不安に思っていたが 子育ては大変だし、タケオは優しいし 今では全くそんな気にはならない 章子を送り出しながら 可愛そうな・・・・ いや、違う せっかく人間に生まれてき…

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「ああ、私も名前は聞いてなかったね 巴さんのお母さん、あんた、なんて言うんだい?」 彼女はタラの粕漬をうまく焼いた奴を ため息をつきながら食べる 「ただ者じゃない高校生だね ああ、私の名前は草加シズカ」 「ああ、草加って言えば隣村のその先あたり…

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タケオの客だったこと タケオの仕事を男娼だったこと でも二人は結婚して星人が生まれたこと そんな、今の章子が一番聞きたい話を全部した しばらくして 「速水さん、色々教えてくれてありがとう 私のパパの家系って面白いのね お祖父ちゃんは東大教授だった…

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部屋に入れると、彼女は 「あの時、イライラして壊したり バラバラにした家具は綺麗に直したんだね」 この女は自分からそんなことを言う 警察に突き出してやろうかと思う 「あたしはこの部屋がいいな」 小さなアパートだ 「そこはショウの部屋! あんたは私…

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章子は唇をかみしめた 誰にも言えないこと 実は章子はピルを飲んでいる 雅紀が大好きだけれど 章子は今、すぐに子どもを産むとか 結婚をするとかは考えられない どんなにセックスがそんなことと直結していると話しても 純粋で素直に何事も受け取る彼なのに …

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これで、納得してくれれば ありがたいのだが 私をストーカーしている変な奴だ 娘が実家に帰らなかったのもよくわかる 「私は旦那と巴さんの居場所も知らないし 私のせいでもないんだから もう、田舎に帰りなよ 多分巴さんは幸せだと思うよ うちの旦那は優し…

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章子はショックを受けているようだった 速水は笑いながら 「それがわかったのが中学の時だから 私のお母さん、おばさんになるかな それまで、私を章子ちゃんみたいに育てていたのよ でも、私はその頃、クラスの男の子だれとでも 付き合っちゃうような子に育…

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「うちの娘があんたんところの旦那と駆け落ちなんか よほどなんかあったんだろうと思ってる あんたんところの旦那って巴よりも40以上上だって 言うじゃないか」 「よほどのことがあったんだよ 小夜子さんはあんたに話しゃしなかったんだろうけどね でも、う…

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速水は少し迷った しかし、康太叔父の子供だ そして章子は康太によく似ている 雅紀を選んでこれから一緒に生きていきたいと思っている 17歳の女の子に対しては誠実に話してあげたい 章子のように生まれてから、すべてにお金をかけてもらって 母のミキがどん…

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「巴さんはあんたにも連絡はしていないのかい?」 手塩にかけて育てたって本人は思っているけれど 何かと自分の希望通りにさせようとする母親だったのだろう 大人しい嫁さんだったから この母親に逆らえなかったのだろう 「シカオのとこに嫁がせたって言うの…

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速水は章子の悩みを聞きながら 「小百合さん。幸せね! 私は星人にどう思われているのかしら もしかしたら、何も思われてないかもね 私の存在なんか忘れてるかもね」 そんな風に言うのを聞きながら 章子はため息をつく 「小百合さん、本当に幸せな人生を歩い…

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それで、どうしたの? そんな風に言い返そうと思いながら、やめた だいたい、そういうものなんだ 小説やドラマなんかだと事件を起こす人間には 何にかちゃんとしたまともな理由があるみたいになってるけれど それは違う 田舎の村でもおかしくなる奴には理屈…

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でも、私のまっすぐちゃんとしたとこは 全部、母が教えてくれたくせに・・・・だ 横断歩道は手をあげてわたる 友達には優しくする 嘘はつかない 人を色眼鏡で見ない みんな平等! そう教えたくせに、嘘をつかせ そして、雅紀のことを色眼鏡で見ている 母親な…

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「で、あんたは誰なんだい? 私は全くあったことがないと思うんだけど」 すると、その女は驚いた 「え?そうだったっけ?」 しばらく考えていたが 「ああ、確かに 娘が嫁に入るときに私はあの村の始めて行ったんだけど その時に。村の人に何人かあったよ で…

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そして、そんなマニュアルから外れると どうしていいのかわからないことがあると ただただ、おろおろしている 「雅紀君とは、まあ、あんな事件で知り合ったんだし みぃさんに迷惑をかけるのもなんだから ちゃんと考えるのよ」 子供の彼氏の悪口なんか言って…

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しばらく女は私をにらみつけていた さて、逃げようか? でも、どうして私を狙っているのか それは聞いてみたい そうじゃないと、どうしようもない 私は腹を決めると、ちょっと、待っていることにした その気持ちが通じたのか、女はワシワシと私に向って歩い…

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早く別れてほしいのに みぃのところで働くなんて よけい別れるわけにはいかなくなるじゃない それから、ハッとする もしかして夫はそれを知っていたんじゃないか? いや、夫こそが妹の会社を勧めたんじゃないのだろうか? どうしてこんな大事なことを 夫も娘…

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今では更年期障害の一つと言われるのかもしれない しかし、私の村では メンスが終わった女は気を付けろ!そんな言い伝えがあって 昔なら、子供を産めなくなった女は だいたい、寿命で死んだのだろうが 今時はそこからまだまだ元気で生きていく しかし、精神…

マニュアル

本当にマニュアル通りの人だ 勉強なんかで計算はよくできるが 文章題が今一つの友人が小学校のころにいたが そんな感じ 方程式とかに当てはめられない問題には 四苦八苦するタイプ そして章子は父親である康太が 母には何も話していないことも意外ではない …

逃亡

私は自分のその頃を思い出す 貧乏でも人の家にお世話になっていても 器量でもよければ、もっと、変わっていたのかもしれない 私は器量も悪かったから、ちっとも楽しくない17歳だった でも、そのぶんショウが楽しんでくれれば本当にうれしい ショウは自分のた…

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悩みは尽きないが 最近の章子は早く帰ってくる 家に帰っても、ほとんど勉強しているようだし 土日はデートだといそいそと出かけるが 毎日のように会っていた頃に比べると 少し安心だ このまま別れればいいのに! そう思っているが口には出せない 夕飯に章子…

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世の中、不公平だと言うやつはバカだと思う それは根本に公平ってやつがあると思っているからだ そんな物は大昔、縄文時代からありゃしない 生まれ持って能力のあるやつが獲物を捕るのがうまかったり 工夫する能力のあるやつが、色々発明したりして 人間は発…

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子供の恋愛は、特に高校生の時の恋愛なんて 暖かく見守る 大学にでも入れば、すぐに興味は他に向いたり もっと違う人に目が行ってしまうに決まっている その時のほうが、もっと、悩むかもしれないが そのうち就職やなんかがやってくるんだから しっかり、落…

逃亡

孫は可愛いと言うが 私には全くそんな気はない 智久は息子によく似てるとは思うが それは、見た目だけで、性格は嫁そっくりでかわいくない チェリーはあまり意味が解らない 変ないい方だが、私はショウのように 恵まれない子供時代を送った 息子もまぁ、そう…