逃亡

私は自分のその頃を思い出す

貧乏でも人の家にお世話になっていても

器量でもよければ、もっと、変わっていたのかもしれない

私は器量も悪かったから、ちっとも楽しくない17歳だった

でも、そのぶんショウが楽しんでくれれば本当にうれしい

 

ショウは自分のために手の込んだ弁当を作るのが楽しいらしく

私のためにもう一つ作ってくれる

それを食べると、ちょっと、散歩にでも出てみようと

近場をふらつく

すると、後ろから女がつけてきているのに気が付いた

私くらいの年だろうか?

いや、もう少し若いのかもしれない

でも、本当に心当たりはない

私は彼女をおびき寄せるために、公園に入った

今の時間はほとんど人がいない

何処にも隠れ場所のない、貧相な公演だ

ベンチに座った

すると女は入り口で躊躇していたが

そろそろと近寄って来た

村ではこのくらいの女は危ないと思われる年齢だ

もう、生理はとっくに上がっているが

婆さんと言うほどではない

この頃、大きな病気をする女は精神的には比較的安全だ

しかし、小太りで健康そうで、一見その辺のおばちゃん

そんな風に見える女は気を患っている場合が多い