2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

速水の悩み

「だいたい、家に引っ込んだらタケオとの接点なんか 全くなくなってしまうじゃない そこら辺の普通のお嬢様は、男娼なんか夜な夜な呼ばないよ」 みぃはそこまで言ってはっと口を押さえた 「あ、ごめん!」 ミキが何もかもあきらめているとはいえ 娘のことだ …

発達障害の母

それに、修二の手の握り方にはまったく 男女のそれを期待しているような物はなかった 「今日は仕事、休みなの?」 修二は頷いた 「火曜日はいつも休みなの?」 「うん。」 「ふ~ん、どこに住んでるの? 遠いの?」 「ううん、あそこのディスコの休憩室で寝…

速水の悩み

沢田もミキも速水が今、いる世界に喜んで出させたわけじゃない 親としては泣く泣くってところだ 普通になりたいと、家にいて何かおけいこことがしたいなんて 嬉しくて仕方がない しかし、それはそれで心配でもある 二人とも速水には健康であることと、本人が…

発達障害の母

ただ、嬉しそうに待っていた たぶん、彼の人生は多くの人間に裏切られることの 連続だったのだと感じた その喜ぶ目がそれを物語っていた 母がそうだった、ちょっと、足りない人間に対して 約束をしっかり守るほど 民度の低い人間たちは優しくないし、暇では…

速水の悩み

その、速水が惚れたって言うタケオ 女の本性なんか素人の女のほうがよっぽど嫌な奴多いのに 速水に会って、なんで速水に惚れなかったのか そいつも大した奴じゃないと思う 家に帰って来た速水にミキは驚いた 「え?しばらくうちにいるの?」 いや、嬉しい。…

発達障害の母

興味はなかったが可哀そうだと思った 連絡先を交換しなかったのは 単純にディスコのフロアなんか信じられなかったから 住所を教えることはできなかった それが本音だったし、恵子ちゃんと私としては バブルのどんちゃん騒ぎの真っただ中にいて 頑なにまじめ…

速水の悩み

優人は少し涙ぐみながら 「これは想定内だったんです ファンだった頃のハーミーはもっと、成熟した女だと思ってました でも、そばでマネージャーやってて、感じたのは 体とは反対に、全く無垢だってことです あんなに無垢で純粋ならば そのうち誰かに恋する…

発達障害の母

バイトが終わって、すぐに、公園の時計の下に向かった 今日はレポートも書かなければいけないし ワイシャツのアイロンがけのバイトもあるから 本当ならば早く帰りたかった どうしても会いたい相手ではない というか、異性として興味のある相手ではないのだ …

速水の悩み

優人は速水をミキのいる実家まで送ると すぐにみぃのところに相談に行った みぃは笑いながら 「今は放っておきなよ もう、この世界には帰って来ないかもしれないけどね 速水のことよりも、優人、あんただよ 速水のマネージャー以外の仕事でもやる? やっても…

発達障害の母

振り返れば、修二だった 昼の光の中で見る修二はまるで天使のようで それでいて、暗闇の中でしか生きていないような そんな矛盾をはらんで見えた そこに、全く知性のかけらもないような笑顔が重なって 私の好みから言えば、こんな男はごめんだと思ったものだ…

速水の悩み

「もう、仕事はしない 今日から、もう、行かない」 優人はすぐに連絡を取って みぃと話す みぃは面白がって、別にいつ辞めてもいいのだから そう言って携帯を切る 「で、どうします?」 「家に帰る!」 「家って?実家ですか?文京区の?」 「うん。もう一回…

発達障害の母

講義が終わって、急いでバイトに走った うどん屋の伯父さんは講義が長引いたと言えば 私と恵子ちゃんは特別扱いで 他に何人か使っている人間はいたが 「学生さんは仕方ないよ!」 そう言ってその遅れた時間さえ時給をくれることがあった。 でも、それに甘え…

速水の悩み

それでも、今はマネージャーだ 「その、沙羅さんて人、木、金の夜 えっと、四時から八時だそうですよ」 「そう」 「いったいどうしたんですか? これから、どうします? やっぱり今日の仕事は無しですか?」 速水は驚いた もちろん、自分にだ 昨日まで、毎日…

発達障害の母

そんなわけで、どうしようもない感じで修二とは別れた 「また、絶対来てね!」 その言葉の修二の目はまるでもう一度会えなければ どこかに沈んでいく、カワウソのようなまなざしに思えた それでも、恵子ちゃんと二人で帰りながら 「『また!はないよね~、来…

速水の悩み

優人はコンビニに入りながら ものすごい喪失感に襲われた 速水は凄いのだ 優人は引きこもる前から ネットの中のエロサイトの女の子のには 相当詳しかったのだ 母親が聞いたら泣きそうな話だが・・・・ もちろん、ハーミーが現れる前のみぃがすごかったのは知…

発達障害の母

それでも、その頃の下宿してる貧乏な学生なんか 電話を部屋にひくこともできず 携帯が普及している時代じゃなかった それこそ、今時のお笑い芸人が肩に担いでいる 大きな携帯がやっと出てきた時代でもあった もちろん、修二も電話なんかある生活はしてはいな…

速水の悩み

昨日、タケオが帰る前に だいたいどこのコンビニかあたりをつけていたのだ 優人は仕方なく、そのコンビニに行った いったい何なんだ 昨日の男は昼間はコンビニでバイトしているのか? いやいや、そんなはずはない コンビニのバイトの時給なんか嫌になるほど…

発達障害の母

修二に気を使って、優しく話していると 恵子ちゃんがやって来て もう帰ろうと言う もちろん、私も帰ろうとすると 修二がものすごく困った顔をして、入り口までやってくる 私たちは最初に入ったときは女の子はもちろんただだし 飲み物は何杯か飲んだがそれは…

速水の悩み

次の日からだ優人が速水が変わったのに気が付いたのは 優人は速水の一番のファンであり ほとんど、そのすべてに惚れていた 「ねぇ、優人、今日から仕事しない! そう、言っても大丈夫?」 速水はネットのスーパーセックスシンボルである以外は 真面目でごく…

発達障害の母

母もそうだが、このタイプの人は嘘が下手だ いや、嘘がつけない、すぐにわかる 声が小さかったが、通りすがりの別のホール係が 「彼女~気を付けなよ、そいつ悪いやつじゃないけど バカだから!いや、騙す気持ちがあるわけじゃないんだけど 見栄っ張りなんだ…

速水の悩み

「それで、今、何してるって言ったの?」 タケオは真っ赤になった 「モデル・・・・」 速水はじっとタケオを見つめると キャラキャラ笑い始めた 「モデルねぇ」 「え?それっぽくは見えるでしょう? 彼女もそんなに違和感なかったみたいだし まぁ、まだ、駆…

発達障害の母

修二はすぐに気が付いて 私を誘って、バックヤードに連れて行ってくれた 「あいつ、やめといたほうがいいよ! この辺のチンピラだけど、あいつの上のやつらが怖いから」 「ありがとう」 そう言って、何か飲み物を頼まなきゃいけないかしら そう迷っていると …

速水の悩み

ふ~ん、これが恋ってやつなのか なんか、体を重ねるよりもややこしそうな感情だ 父親に話せば、とびきり素敵に解釈してくれそうだが まさか、話せない! 「彼女の名前は?」 「沙羅!」 「どんな子?コンビニでバイトしてるってお金に困ってるの?」 速水は…

発達障害の母

ディスコは楽しかった 女の子はタダだったし、踊りは踊れなかったけれど 恵子ちゃんも私も十分にモテた それでも、二人ともこんな遊びができるのは 一年に一回だってわかっていたから 適当にかわし、踊りを教わり、飲み物をおごってもらった 修二はそこのフ…

速水の悩み

「その女の子って?」 自分の感情は押し込んで話を聞く タケオもまさか、稀代のネットエロスの嬢王が 自分に恋したとは思わない 気を引いたのは成功したようだが 実際彼女が好きになる相手なんか有名なIT企業の社長とか 俳優とかセレブに決まっていると思…

発達障害の母

「今月、バイト代、少し多かったじゃない? これで、ディスコってところに行ってみない?」 二人ともバイトに明け暮れる毎日 食べ物はお互いの田舎から送ってくれる野菜を 二人で持ち寄って料理した 最初は楽しかったが、周りが浮かれている 私たちの大学は…

速水の悩み

高校一年の時に男をあさる速水の性に気が付き 父も母もそれを受け入れてくれ それをどうにかしろとは言わなかった みぃは待ってましたと助け船を出してくれたし 父はそれを文学として理解してくれたし 母は自分の生い立ちや、祖母の行状から そっちのほうが…

発達障害の母

それでも、私自身は父がそうであったように 母のようなタイプの異性に弱いのかもしれない コンプレックスを抱えて自信と言ったら 何とか大学に合格できた事実だけで それもガリ勉の末の話で 東京の余裕がありそうなスマートな学生の中で 毎日、泣きそうだっ…

速水の悩み

今、昨日の速水ならば、そう言ってタケオにお金を上げただろう でも、それはできない 今、速水はタケオの好きだと言う その素人の彼女に嫉妬しているみたいだった 速水は今まで、男の体を欲しがることがあっても 恋はしてこなかった やっていることは普通の…

発達障害の母

母には絶対に変えない個性と思い込みがあって 私はそこが苦しく、たまらなく嫌いなのだが それは発達障害の人間特有のもので 許せはしないが、私のこの家を出てからの価値観をすべて覆した 人間なんて死なずにいさえすれば幸せなのだ 発達障害の母と酒を飲む…