発達障害の母

それに、修二の手の握り方にはまったく

男女のそれを期待しているような物はなかった

 

「今日は仕事、休みなの?」

 

修二は頷いた

 

「火曜日はいつも休みなの?」

 

「うん。」

 

「ふ~ん、どこに住んでるの?

遠いの?」

 

「ううん、あそこのディスコの休憩室で寝てる」

 

「え?自分の家は?」

 

「もう、そろそろ自立しろってお母さんが言うから」

 

もちろん、ディスコクラブの休憩室で寝起きしていて

母親に追い出されたなんて、今の私ならば

それくらい、アリだし、もしかしたらそんな環境の割には

いいほうかもしれないとは思ったが

その頃の田舎から出て行ったばかりの私には

彼はまるで小学校の頃に読んだ

『長靴をはいた猫』の一番下の末っ子のように感じた