速水の悩み

高校一年の時に男をあさる速水の性に気が付き
父も母もそれを受け入れてくれ
それをどうにかしろとは言わなかった

みぃは待ってましたと助け船を出してくれたし
父はそれを文学として理解してくれたし
母は自分の生い立ちや、祖母の行状から
そっちのほうが自然なのかもしれないと考えてくれた

ただ、男性を喜ばすスキルは天性のものだが
それは恋ではないし
誰かと恋に落ちたこともなければ
片思いですら知らなかった

先に体で一つになるという、単なる、行為しか知らなかった

その速水が、今、目の前の、何のとりえもなさそうなタケオに
今、心を持っていかれてしまったのだ
そして、タケオが好きな女の子が
全く普通の女の子だと聞いたとたんに
取り返しのつかない自分の生き方に気が付いた