速水の悩み

ふ~ん、これが恋ってやつなのか
なんか、体を重ねるよりもややこしそうな感情だ
父親に話せば、とびきり素敵に解釈してくれそうだが
まさか、話せない!

「彼女の名前は?」

「沙羅!」

「どんな子?コンビニでバイトしてるってお金に困ってるの?」

速水は16でこの世界に入ったから
普通の女子大生の生活なんか想像もつかない
父を見て育っているから
大学ってところは勉強をひたすらやってるところだと思っていたし
お金がないってことは全くわからない

康太やミキが勉強のためにどんなに、お金が欲しかったかは
速水には全くわからない母の過去だ

「普通なんじゃない?
ミディアムボブで中学の頃の真っ黒で
真っすぐな髪じゃなくなってるのが、大人になったなって感じだった」

今、恋をした相手に、好きな相手のことをのろけられて
速水はそう、ショックではない自分に笑った