マニュアル

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章子は何も言えない
何も言えないが雅紀と別れる気は全くない

雅紀は集団生活はやっていけないほど
純粋なのだ
彼の気持ちが美しいこと
そう言う人と一緒になりなさい
それは小百合が章子に教えたことじゃないか?

何を言ってもどうにもならないだろうと
黙って座っていた

「何とか言いなさいよ!
別れないんだったら
ママが雅紀君の家に言ってくるわ!」

康太が帰って来た

「どうしたの?何かあった?」

そう言いながらテーブルの上の写真にすぐに気が付いた
章子は真っ赤になったが
康太はこういうトラブルには慣れているのだ
それは物心ついたときからの
母の奔放のおかげだ

「ママ、落ち着いて!
雅紀君に関しては僕は良い子だと思うよ
みぃも感心していた
それに、もう、体は大人の二人が付き合っているんだから
このくらいのことはあるよ」

章子は真っ赤になりながらも、ホッとして父の顔を見た

「あなた!何を言ってるのよ!」

康太は今まで話さなかったが
章子のために自分の生まれ育った家族の話を始めた
母親が性に奔放だったこと、祖父は卑猥で下世話
生まれた周りの環境も、そんなものだったこと
姉は中学を出てすぐに、風俗の世界で働いていたこと