逃亡

「うちの娘があんたんところの旦那と駆け落ちなんか

よほどなんかあったんだろうと思ってる

あんたんところの旦那って巴よりも40以上上だって

言うじゃないか」

 

「よほどのことがあったんだよ

小夜子さんはあんたに話しゃしなかったんだろうけどね

でも、うちの旦那とは恋仲だと思うよ」

 

「は~小夜子さんが死んだからって

適当なこと言ってんじゃないよ!」

 

「シカオが子作りをする時に

ひどいことをしたんだよ!

あんたも子供じゃないんだから、それくらいは

わかるだろう

だいたい、巴さんはあんたに話さなかったのかい?

他に相談できる人間なんて、この世であんただけだよ」

 

彼女は本当に驚いたように首を振った

 

「そういう所だよ!可愛がって一生懸命育てたって

それはあんたが自分で思っているだけだろう?」

 

「世の中には相手を傷つけないではいられない性癖ってやつが

あってね、シカオは自分でも悩んでいたよ

とにかく、私のせいでもうちの旦那のせいでもないよ

しいて言えば、小夜子さんのせいじゃないかね

まぁ、だから、おかしいことになって死んだけどね」