2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

マニュアル

バカにされているわけではない もちろん、康太も章子も失礼がないようにと 小百合を尊重してくれているのはわかる でも、小百合にはわからない 二人が困ることがあるらしく そんな時は康太と章子は目を合わせて面白そうにしている 少し気を悪くしてみるが よ…

逃亡

「よし!それでいいじゃないか 張り切って、私の期待に答えようと思わなくてもいいんだよ お金をかけたからって、立派になるわけじゃない チェリーには高校までに3千万は軽くかかってるし 教育費だけだよ! 智久はもっとかかっている! でも、勉強はできても…

マニュアル

章子の子育てに一生懸命なのに 章子が小学生のころから、何となく 章子に笑われている気がする 「もう、ママは! あんなこと、言っちゃダメでしょ」 「まぁまぁ、章子、ママは悪気があって言ってるんじゃないんだよ」 「わかってる!だから余計友達に悪くっ…

逃亡

ショウはワンワン泣き出した 私はいったい何か彼が傷つくことを言ったのだろうか? いや、お金を出してやるって言うのが プライドを傷つけたのかもしれない 親でも本当の祖母でもない 「ごめんごめん、嫌ならいいよ」 そしたらドラマのように 「違うよ、違う…

マニュアル

小百合は康太の親戚が苦手だ 自分の実家にいれば、なんの間違いもない自分 父や母の言うとおりに、やれば間違いないと信じている 祖父も父もいつだって努力の人で 小百合は心から尊敬している 母はその父を敬愛して、主婦としての仕事を完ぺきにこなし 子育…

逃亡

学校に上がる前から、朝は掃除 牛の世話、台所の片づけなんかをやらされた 小学校に上がれば、家では手伝いばかりやらすくせして 村長の家の子供がバカでは困る 勉強はできて当たり前だと言われるから 一生懸命勉強した じいさんはそんな私を見るに見かねて …

理想の父親

常識とか空気とかは生きていくには邪魔なだけだ それを一生懸命追い求めていたのが ミキや康太 親に教えられたとおりに、自分の育ちに 何の疑問も持たずに 中学に入ったか入らないかくらいで風俗に売られたのに それすら、普通のこととして苦しんだり 親を怨…

逃亡

孫は智久とチェリー 智久には母親がついている チェリーはひ孫を産んでくれた しかし、息子が面倒見るだろうし 今、私にお金を使わせる人間はいない ショウにつぎ込んでも罰は当たらない 私自身がどこの馬の骨ともわからない育ち方をしている あの村で生まれ…

理想の父

世間はどこを向いても 家族の中の良さ、家族の団結、家族は素晴らしい 一緒に住んで、一緒にご飯を食べ 愛にあふれているのが良しとされ 多くの家庭が一見そうであるかのように振る舞い 多くの人が、それが良いことのように認識されているが そうだろうか? …

逃亡

私にはそれなりの財産がある 田舎の土地も数か所あって、二束三文の土地がほとんどだったけれど かなり村から離れた場所にあった土地は 大型の工場が立つって言うので かなり高く売れた そして、昔から株を少しづつやっている こうして引っ越せば、それなり…

理想の父

章子は康太を見た 雅紀は嬉しそうに 「あ。章子の家のママは絶対だめだよ いっそのこと黙っていようよ」 だいたい、小学生みたいな答えだ しかし、康太も 「そうだな 実際に結婚するまでは数年あるんだから 黙っていたほうがいいかもしれない どんなに一生懸…

逃亡

「よく別れられたね」 ショウは首を振った 「俺が勝手に考えてることで ちょっと、女の人をあんなに好きになったのは初めてだから いい気になってるのかもしれないけれど 先生は俺のこと、本気だったって思う 駅まで迎えに行った時、あんなにうれしそうな顔…

理想の父

「え?」 「それで、結婚しても私が彼を養えるでしょう?」 「結婚?」 康太は章子の言葉に驚いた そこまで考えているのか・・・・ 「もちろん、大学を卒業してからの話 でも、雅紀君の就職はお願いしたいの ダメかしら?」 速水が横で聞いていて笑い出した …

逃亡

「ありがとう 俺、自分があいつに遠く及ばない人間だったってことが なんか吹っ切れなくて それに、先生と暮らしていて 随分、いろんなことを知ったんだ 小学校も中学もまともに行かなかっただろう? でも、チェリーとか見ていて そんなの関係ないしって思っ…

理想の父

章子と雅紀は見た目はお似合いだ 速水は嬉しそうに お茶を出しながら 「叔父様、2人は結構、将来のことも考えているみたいよ ねえ、章子ちゃん!」 雅紀は小学生のように ひたすら、お菓子を食べている 速水の手作りクッキーは確かに美味しいのだが… 背の高…

逃亡

「ショウにとって幸せだったんならお金が無駄になったわけじゃないよそれよりも、それから何があったんだい?」「ある日、男が訪ねてきて自分の婚約者だって言うんだ先生もそうだって言うしその男っていうのが見た目もイケメンだし、体も鍛えてるし仕事は弁…

理想の父

康太はミィに持たされたお菓子や 惣菜をラーメン屋のおっさんに渡すと 速水にラインした まだ、章子と彼がいるかと聞いた まだいるとの返事に すぐに行くと返す 親が立派であるとまったう気づかなかった 不肖の息子だ その息子が娘の恋愛に対して 何か言える…

逃亡

ショウはまるで騙されたのが極上の幸せだったように話し始めたそれで、何度かお見舞いに行ってるうちにこんなに話していて楽しい人は始めてだと思い、そう言うと彼女もそうだと言う彼女が退院するとなんどもデートをしてそのうち、離れられなくなって彼女の…

理想の父

自分がまったく知ろうとしなかった父 その父はトラックの運転手ながら 知的で、あの母を心から愛していた人 康太は泣きそうになる 「親父さん、康ちゃんの事 ものすごく自慢に思ってたよ だから、とにかく稼いで、ミキちゃんが 康ちゃんの勉強にお金を使うの…

逃亡

「どんな女だったんだい?」私が少しも怒ってないと安心したのか「それが、すごい美人!あ、写真、見る?」見せてもらった女は美しかった「あら、綺麗だけど随分、年上なんじゃないかい?」「よく、わかったね15歳上でさ、学校の先生なんだ」「どこで知り合…

理想の父

「いや、俺はね そんなに仲が良かったわけじゃなかった 親父さん、知的だったからな 俺なんか、野球か女の話しかできなかったけど、親父さんは よく新聞の難しい所を読んでたよ だから、あんたが東大に通ったって 聞いたとき やっぱり、親父さんに似たからだ…

逃亡

シカオはその後、親せきに家を譲って 自分は東京に出てきたと言う 幸せになっていればいいがと願うばかりだ そして、うちの爺さんとその嫁さん うまくやっているだろうか 間違いなく立派に暮らせる人間なんかいないのに 人はそのことが、ものすごく大事で 隠…

理想の父

「あ、あんた康ちゃん!」 ラーメン屋の爺さんはすぐに康太に気が付いた 「あ、こんにちは! お久しぶりです。 よく僕だってわかりましたね」 ラーメンに他のお客さんよりかはチャーシューを 多めに乗せながら 「何言ってるんだい! 親父さんにそっくりじゃ…

逃亡

少しうんざりしてしまう 小さな村では人と違うことは ものすごくいいことか、排除すべきことかに別れ 法律よりも常識よりも、みんなが許す程度に 他の人もやっているかどうかだ 小夜さんは頭のいい人だったから、それはよくわかっていた そして、負けず嫌い…

理想の父

あの頃はこの男がうらやましくて仕方がなかった しかし、今はもうそんな気持ちは飛んで行ってしまっていた 「あの頃、うちの家の近くに 親父と同じトラック運転手をしてた家があっただろう? あそこも君んちの土地だったんじゃないの? あそこの爺さんとかど…

逃亡

さっきから出てきたくてうずうずしてたのだろう 私をにらみつけると 「あんたが村一番の知恵者なんか言われて いい気になってるのは知ってたけど こんなおせっかいをしていいって法はないよ シカオには家にいてもらって、また、嫁を探すから 今度こそ、まと…

理想の父

相変わらず小汚い町ではあったが 駅を降りると タワーマンションがそびえたち 康太が育ったあたりはすっかり美しい公園に変わっていた もう、あの頃の人間は誰もいない そう思って、その公園の近くの 小さなしゃれたカフェに入った コーヒーを注文して、みぃ…

逃亡

「嫁さんのことは安心しな! うちのじいさんは年金はちゃんともらってるから 最低限の生活くらいできるよ そして、あんたはまた、都会に出て働いたらどうかね お金だけお母さんに送ってあげたらいいよ お母さんもあんたや嫁に良かれと思って やったことだし…

理想の父

「お姉ちゃんは優しくて お兄ちゃんは賢くて、 なんの文句もなかったよ 小学校からはお母さんに連れられて 今の世間で言われるところのネグレクトみたいなことだけど お母さんの男たちはだいたい、陽気でバカだったから 楽しかったんだよ 勉強は正二さんが嫌…

逃亡

「うん。女に苦労したことはない!」 「それで、あっちのほうは?」 嫁に逃げられたもやもやして、腹立たしい気持ちを 自分の性癖の話に持っていかれて シカオはだんだん、腹立たしい気持ちを静めて 冷静になって行った 「あ、都会ならその、金さえ払えば え…