マニュアル

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バカにされているわけではない
もちろん、康太も章子も失礼がないようにと
小百合を尊重してくれているのはわかる
でも、小百合にはわからない
二人が困ることがあるらしく
そんな時は康太と章子は目を合わせて面白そうにしている

少し気を悪くしてみるが
よくわからないまま、話は続く

マクドナルドの話もそうだ
小百合は章子には有名パティシエのケーキ以外は
絶対に自分の手作り
そのために章子が学校に行ってる間
お菓子の学校にも通って腕を磨いている
章子の学校では小百合が通っている頃から
それが家庭では当たり前だった
章子が公立の子でも連れてきたのならば
小百合だって、遠慮する
当然、ファストフードにまみれているのだろう
それは母親が働いているような共働きで忙しく
手作りなんかはあまり食べさせてあげられないから
マクドナルドに行くのが楽しみになる
そんな家庭の子にはちゃんと遠慮するのはわかっている

でも、連れてきたのは同じ私立の母親も出身の家だ
あんなふうにしゃべって、何が悪かったのだろう?
あそこの子の母親は働いてなどいなかったはずだ

小百合はそれならば、皮肉に取られるとは思いもよらなかったのだ

章子の一番困るのは学校自慢だ
自分の出身校を誇りに思うのは悪いことではないだろうけれど
小学校から大学まで、ここの学校だと言うことを
嬉しそうに話す
母親たちが数人で家に遊びに来た時に
出身者がいない中で、そのことを延々と話したり
横で聞いている章子だって聞き苦しい

無邪気!天然!空気が読めない!
本人は気が付かないから
いや、本人は十分に天然ではないし、
空気を読みまくっているつもりでいるつもりでいるから
康太も章子もなんとも言えない