逃亡

「ショウにとって幸せだったんなら

お金が無駄になったわけじゃないよ

それよりも、それから何があったんだい?」


「ある日、男が訪ねてきて

自分の婚約者だって言うんだ

先生もそうだって言うし

その男っていうのが

見た目もイケメンだし、体も鍛えてるし

仕事は弁護士だっていうし

年齢だってちょうど合いそうだし

俺に勝ち目がないっていうか

先生を幸せにできるのは

そいつの方だし、それで、

そこを飛び出したんだ

ばあちゃんのとこに1番に来ようと

思ったけど、ばあちゃんにもらったお金は

全部、先生との生活で使っちゃったし

顔を合わせられないと思ってたんだ」


「今はどうして暮らしてるの?」


前みたいに水商売の知り合いのとこに

転がり込んで、店の事務所とかで

寝かせてもらってる」


「ここに来てボディガードをやりながら

もう一度、専門学校に通うかい?」