逃亡

「嫁さんのことは安心しな!

うちのじいさんは年金はちゃんともらってるから

最低限の生活くらいできるよ

そして、あんたはまた、都会に出て働いたらどうかね

お金だけお母さんに送ってあげたらいいよ

お母さんもあんたや嫁に良かれと思って

やったことだし、嫁さんだって

ギリギリまで我慢してただろうし

うちのじいさんだって見ていられなかったんだろうしね

あんたの性癖ってやつは仕方ないことで

なおりゃ、しないよ

でも、それは病気なんだから、あんたのせいでもないしね」

 

シカオはしばらく考えていた

 

「うん。でも、そのこと、母ちゃんに言ってくれよ」

 

「後ろ、そこにお母さんいるよ

さよさん?いるんだろう?出てきなよ」

 

田舎はいちいちカギをかけたりしないから

こんな時は都合がいい