理想の父

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「え?」

「それで、結婚しても私が彼を養えるでしょう?」

「結婚?」

康太は章子の言葉に驚いた
そこまで考えているのか・・・・

「もちろん、大学を卒業してからの話
でも、雅紀君の就職はお願いしたいの
ダメかしら?」

速水が横で聞いていて笑い出した

「章子ちゃん、お嬢様でおっとりしてるって思ったけれど
全然違うのね!」

「え?章子、俺と結婚するの?
仕事も探してくれたの?
するする、したい!
結婚するんなら、真面目に毎日働くよ!

康太は驚いたが、それならそれでもいいと思った
人生ってやつは、レールを引いてやったからと言って
幸せになるとは限らない
雅紀は章子と結婚したいと言っている
片思いではないのだ
それならば、それもいいだろう
今まで小百合の言うとおりの人形だった
その章子がそうしたいのならば、それもいい
まだ、若いんだ
失敗したら失敗したで、やり直しはできる

康太は自分を振り返る
結婚も二度目だし、そのあとの恋だって楽しかった
せっかく、この世に生まれたのだ
好きにすればいい

康太はにっこり笑って

「章子!それだけ気持ちが決まっているのならば
好きにすればいいよ」

速水は嬉しそうに

「あとは小百合さんね」