逃亡
学校に上がる前から、朝は掃除
牛の世話、台所の片づけなんかをやらされた
小学校に上がれば、家では手伝いばかりやらすくせして
村長の家の子供がバカでは困る
勉強はできて当たり前だと言われるから
一生懸命勉強した
じいさんはそんな私を見るに見かねて
よく、かばってくれたりしたものだ
結婚も愛だ恋だと言うよりも、その流れだった気がする
だから、ショウを見ていると
何か、応援したくなるのだ
「普通に高校に通うんだよ!
大学行きたきゃ、いけばいい」
ショウはビックリして
「ばあちゃんのお金はちゃんととっておきなよ
年取ったら、老人ホームに入るお金とかいるらしいぞ
それに、学力ってやつ?
そんなの少しもないし」
私は前に智久が言っていた言葉を思い出した
「公立の中学三年間の勉強は一か月で終わるって言ってたよ
智久は意地の悪い子だったけれど
そのくらいでやれる子だった
ショウのほうが地頭は良さそうじゃないかなあ
嫌なら無理にとは言わないけれど、やる気があるんなら
行ってみなよ
家庭教師でも何でもつけて、高2の編入試験を
受けて見ればいいよ」
ショウはしばらく黙っていた