普通の幸せ
それを望んでいる母親のミキとは違う
速水は自分には何一つ平均値を超えるものはない
もし、それがあるとすれば
大学教授で小説家の父
美しく賢い母親
弁護士の叔父夫婦
大金持ちの叔母

なんだか、いらいらする
母親はそれが一番というが
何もない自分にはそれが一番だなんて思えない

勉強は頑張ってみたお金もかけてくれた
それでも、偏差値45の高校が精いっぱいだった
夢があるわけじゃない
父親の大学に行きたいなんて考えたこともない

学校の友人と毎日楽しく
高校生活を送る
それだけしかない自分が嫌になったりするなんて
情けないし、それが悩みだなんて
きっと、父も母も思ってもいないだろう