沢村は茫然と立っているミキをソファに座らせた
沢村は速水を目の中に入れても痛くないほど
かわいがっていたが、そこに怒りや悲しみはなさそうだった

ミキははっと気が付くと

「ごめんなさい、私のせいだわ
ちっとも気が付かなかったし
速水がそんなことになっているなんて・・・」

そう取り乱して泣き出した
そして、やはり、蛙の子は蛙だし
沢村と結婚したことは間違っていたのだと
心から思った

沢村はそんなミキの心が手に取るように分かった

「違う!そうじゃない!
僕の母はどんな人か知っているはずだ!」

確かに、二人ともまともな生い立ちではなかった
娘を風俗嬢に就職させる母親
ずっと、日陰の身で満足した母親

二人の母親がそこから逃げようとして、もがいた
二人の目の前に立ちふさがった