風邪をこじらせて
「私たちにとっては初孫だからね
何とかうまい方法をって
パパが奔走してね」
そうだったのかと父に感謝した
あの時に、もっと、早く打ち明けていれば
子供は処分できたのかもしれないが
どこかで幸せに生きてこれたのならば
やはり、あれでよかったのだ
「会いに行きたければ行ってみたっていいと思うのよ
あなたは母親なんだから
それに、弥生ちゃんももう、結婚もして子供もいるし
パパが少し財産わけもしてあげているのよ
あなたの結婚が決まったときにね
ほら、大学の時に付き合っていた人
悪い人じゃなかったのはわかっていたんだけど
『パパはね、ゆかりにも責任はせをわせないとな』って
今の久さんを考えていたのよ
久さんは財産を持っているでしょう
その分、あなたが苦労しないのならば
嫁に行く時持たせる持参金を、弥生ちゃんにあげたかったの
もちろん、あなたの知らないことだけど
私もそれがいいって思ったの
あなたはあなたで、パパの言うことは聞かなくっちゃって
従順だったでしょう
パパはあなたがお金を出すことに意味があるって
思っていたみたいね」