風邪をこじらせて
私はそんなことがあったから
長い間、中学の同窓会には出なかった
その年は、中学のあの時があったから
あのカレー屋の素敵な幸せそうな家族が出来た
あの一日の夜があったから
あの可愛い男の子が、この世に生まれた
そう思うと、友人もいなかった中学時代だが
愛おしくて、出てみようと思ったのだ
しばらくぶりで友達もいなかったのだから
誰にも私が誰かわからない
今でも積極的に人と話すタイプではない
ぽつりと隅に座って、みんなを眺めていたら
相変わらず、みんなの人気者で
今は大手のメーカーで役員にまで上り詰めたという
戸田君がふっと私に気が付いた
私は何の感慨もなく、確か、大学は東大だと聞いた
そんな人の血が入っているのならば
あの男の子も頭がいいかもしれない、なんて考えていた