刷り込み
他のテーブルから
この二人を見ている人間たちは
お金持ちのおばさんが
若い子にうつつを抜かして
可愛がっている
若い男はこのおばさんを糧に
自分の生きている業界で
のし上がっていきたいと思ってる
少し世の中の常識に通じている人間は
そう見る
そんな目を全部意識しながら
彼女は心の中でニヤリと笑った
「楽しかったんだったら
本当によかったわ」
若い男は
「でも、京子さんと一緒じゃなかったから
寂しかったよ
今度は一緒に行こうよ」
そう言っておく
京子は少し困ったように
「行きたかったけど
今は相場が揺らいでいてね
遊んでる場合じゃないの
後、200万あれば10億になるんだから
なんとしても、お金を集めなければ」